第2回全国研究集会報告書-039/60page
個を生かす学校環境の在り方
―学校教育目標による具現化を求めて―
秋田県教育センター 指導主事 柴田正臣
1.研究の趣旨
環境は教育そのものであるとさえいわれており,児童生徒は環境のかかわりの中で成長発達をとげる。昭和62年8月臨教審は「個性重視の原則」を提言した。学習指導要領の改訂を受けて学校現場には「個を生かす指導」の具現化が強く求められている。
先の岩手県大会において,共同研究推進委員会は,学校環境を5つにとらえ,4つの視点から検討すべきことを提言している。この中の精神・心理的環境にかかわるものとして次の仮説を設定した。
2.研究仮説
教育目標を調査することによって県内の小・中・高等学校の「個を生かすための学校環境」への取り組み状況を察知し(1年次),次に目標に基づく教育活動の実践例をとらえて(2年次),検討,吟味を重ねるならば(3年次),「個を生かすための学校環境の在り方」について具体的に提言することができるだろう。
3.調査の内容と結果(小・中・(高))
(1)学校教育目標の中にどのような価値項目が多いか。
ア 学校教育目標
1)心情の豊かさ 2)不屈・克己心 3)健康 4)自主・自発性 5)基礎学力
イ 教師個人の教育目標
1)心情の豊かさ 2)自主・自発性 3)基礎学力 4)責任感 5)創造性
・ア,イとも個(個性)にかかわる価値項目の取り上げはない。
(2)学校教育目標に対する教師の意識
ア 教師間の共通理解について
イ 自校の教育目標と個人の教育目標の関係
(3)学校教育目標の改訂状況
(4)学校教育目標具現化の場と手だて
(5)学校教育目標と「学校教育の指針」(県教育委員会発行)との整合性
4.まとめ
個にかかわるものを,全教師の共通理解に基づいて,より行動目標化して学校教育目標に取り上げる必要がある。