実践のための学校教育相談ハンドブック-062/083page
6 虐待 〜声なき声を聞き取って〜 (1) 児童虐待とは
近年,親や保護者等による児童への虐待が増加しています。児童虐待には,次の4つのタイプがあります。
@ 身体的虐待 …身体に暴行を加え,身体的な傷を負わせる。
(殴る,蹴る,やけどさせる,骨折させる等)
A 心理的虐待 …心理的ないじめ,心に傷を負わせる。
(言葉による脅し,叱責,侮辱,差別,無視等)
B 性的虐待 …性的暴行やいたずらをする。
(性的ないたずらをする,性的関係を強要する等)
C 養育の拒否、放棄 …適切な衣食住の世話をしないなど,養育を放棄する。
(食事を与えない,登校させない,病気でも医者にみせない等)これらのタイプが重複している場合もあります。また,これらの行為は繰り返し起こることが特徴です。家庭という密室の中で,虐待を受けた児童たちは,「自分は愛されない人間だ」と思いこみ,心の傷を深くしていきます。
安全な環境を作ってやるためには,一時的な親子分離もやむを得ません。しかし,最終的には,親子が一緒に暮らせるようになることが必要です。
(2) これ以上,傷つけないために
○ 一刻も早い発見と保護を
虐待には,一刻も早い発見と保護が必要です。児童の様子が「おかしいな」と思ったら,担任だけでなく養護教諭などと協力し,複数の眼で観察していくことが大切です。虐待の事実がはっきりしたら,当面児童は安全なのか,緊急を要するのかを判断し,対応するようにします。緊急を要する場合は,安全確保を第一に考えて,児童相談所等へ相談しながら保護者への説得を図っていくようにします。なお,このような事態になっても個人のプライバシーは守らなければなりません。