実践のための学校教育相談ハンドブック-061/083page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 5 選択性緘黙(かんもく) 〜話せるけれど話せない〜

選択性緘黙とは(1) 選択性黙(かんもく)とは

選択性緘黙(かんもく)とは,本来,話す力を持っていながら,心理的原因などで,特定の場面で話すことができない状態像を指します。基本的には,集団生活にうまく適応できない形の一つとも考えられます。教師は,単に「話をしない子」としてとらえずに,今,ここでは「話せない」のだと理解することが必要です。

緘黙の始まりは,入園,小学校入学時に集中しているので,特に幼稚園や小学校の担任の理解と対応はとても大切です。

(2) どのように対応すればいいか

まず,ほっとできる場・安心感を与えることです。教師は,そっと寄り添い,学校を家庭と同じような安心できる場にし,教師が安全を保障する役割を果たす必要があります。緊張や不安を取り除くために,楽しい雰囲気づくりに努め,集団活動に参加させたり,他の子に協力させたりする中で,友達とかかわっていけるようにすることが肝心です。

そして,何より大切なことは,決して,無理に急いで話をさせようとしないことです。言語以外のコミュニケーション手段を用いて,人間関係の調整を図ることもよいでしょう。

緘黙には,簡単な返事やうなずき・身振りで応答するもの,全く反応しないもの,体のこわばりなどが見られる重いものまで程度は様々です。そこで,どんな場面で話すのか,あるいは,話さないのかの境界線を見極めることです。できるだけ具体的な場面に照らして,相手による変化はあるか,状況による違いがあるか,それぞれの場面における緘黙の程度を知ることです。そこから,社会化への援助を目指し,長期的な取り組みを具体的に考えていくことです。また,長期化しがちなので,医療機関や専門機関との連携も必要となるでしょう。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育資料研究会に帰属します。
福島県教育資料研究会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。