実践のための学校教育相談ハンドブック-069/083page

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(5) うつ病 〜抑うつされた気分〜

原因がはっきりしないのに気分が落ち込んだり,無気力状態になったり,イライラした不安感や何をしても楽しくない憂うつ感があり,抑うつされた気分になったりします。このような状態をうつ病と言います。食欲が無い,夜熟睡できないといった症状もみられます。うつ病は,自己嫌悪感や自責感を抱いて,対人関係がうまくいかなくなるといった不適応行動を示し,学校を欠席しがちになるので,不登校とまちがえられることがあります。

思春期は,親からの独立,友達関係の拡大などが発達課題です。親との意見の食い違い,友人関係のストレスによる疲れ,挫折によるつまずきや自己を変えることの難しさなどが発病の要因になることがあります。

親や教師は,専門医のアドバイスを受けながら,本人のストレスとなる要因を取り除き,心身共に休養をとらせるなどの援助を心がけながら,本人がうつ状態を克服していくのを見守ることが重要です。

(6) 分裂病 〜不登校の陰にひそむ〜

分裂病の初期には,不登校でもよく見られる学業の不振や生活の乱れ,意欲の減退,怠惰,ひきこもりなどが見られます。このため,分裂病はよく不登校とまちがえられることがあります。しかし,不登校の他に,分裂病では,興奮・多動・粗暴行為・自閉・幻覚・幻聴・妄想・独り言などの症状が次第にみられるようになります。

分裂病は,原因がまだわかっていませんが,発病を促進する一つの要因として生活上のストレスが考えられています。心理的なストレスに直面すると,発病したり,症状が急速に悪化したりすることも認められています。

これまで,分裂病の治療は難しいと言われてきましたが,発病の早期に適切に治療すれば,良好な経過をたどることがわかってきています。思春期・青年期は精神的な障害の発症が心配される年齢であることから,不安定な精神状態がなかなか改善されない場合は,専門医に相談してみることも考える必要があります。


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