すぐに使える 実践事例集 平成13年10月-007/114page
中学校社会科
クロス・セッションで授業を活性化させてみませんか
1 はじめに…
新学習指導要領では,調べ方・学び方,見方・考え方を学ぶ学習をよリ一層重視するよう求めています。今までも,グループによる「調べ学習」はよく行われてきました。しかし,この「調べ学習」を実施すると,必ずといっていいほど指摘される問題点がいくつかあります。 それらを,ウェビングすると右図のようになります。
そこで,これらの問題点を解決するとともに,生徒一人一人が自分なりの考えを深めることができる一つの方策として,「クロス・セッション」による授業を実践してみてはいかがでしょうか。
クロス・セッションの基本型
2 クロス・セッションとは…
例えば,歴史の授業で,織田信長,豊臣秀吉,徳川家康の3人の人物を通して,どのように天下が統一されていったのかを調べる学習を実施するとします。
まず,右図の第1段階のようにA〜Iの9名の生徒を,3名ずつの「学習班」に分けます。そして,それぞれの学習班の中で調べる人物を分担します。
第2段階では,同じ人物を調べる生徒同士で「調査班」をつくります。この調査班では,それぞれの人物調べを協力して行い,発表資料を作成します。
そして,第3段階ではもとの「学習班」に戻リ,調査結果を発表し合い,意見を交流させます。生徒たちは天下統一をめざした3人の武将の人物像や功績などを紹介し合うことで,彼らが生きていた時代について,自分なりのイメージを深めていきます。
「クロス・セッション」とは,このように意図的に小集団を組織し,それを組み替えていくことにより,生徒一人一人が課題を分担し,異なる視点・方法・内容で追究した成果が総合化され,課題を解決していくという学習過程を重視する活動です。 図のように,「学習班」と「調査班」の2つのグループを組織し,学習を進める授業をクロス・セッションの基本型ととらえます。また,この基本型に別の種類の班を組織し加えたり,多様な学習形態を組み合わせたりして学習を発展させていくことも可能です。これを,クロス・セッションの発展型ととらえます。
それでは,これからクロス・セッションの基本型と発展型の授業実践例を紹介します。