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和楽器「筝(そう)」の魅力を生かして
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−日本の伝統音楽に親しませる指導の工夫−
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1 はじめに
世界の諸民族がそれぞれの音楽文化をもっているように,日本にも長い歴史を経て育まれてきた伝統音楽があります。しかし,生徒にとっては接する機会が少ないのが現状です。これからの国際社会で生きていく生徒にとっては,世界の様々な音楽文化を広く受容すると同時に,自国の音楽文化の価値やよさを感じ取り,より幅広い音楽観と感性を培うことが必要であると思います。
新学習指導要領でも,「我が国や諸外国の音楽文化についての関心や理解を一層深める表現活動及び鑑賞活動の充実を図る」ことが重要視されています。そこで,授業を通して,生徒が学ぶ楽しさを味わいながら日本の伝統音楽の魅力に触れる機会を作りたいと考え,指導の工夫をしました。
2 和楽器「箏(そう)」を使った題材の設定
生徒が,日本の風土の中で生まれてきた音に直接触れて感じることを大切にしたいと考え,和楽器「箏」を題材にした授業を計画しました。和楽器には,他にも三味線・尺八・篠笛・和太鼓などいろいろありますが,「箏」は,指1本からでも容易に演奏を楽しむことができ,必要に応じて音程を調整したり,奏法の工夫によっては様々な音色や余韻の変化などを作ったりすることができる優れた楽器です。
生徒に,箏についてのこれらの長所を感じ取ってもらうと同時に,心に訴える繊細で美しい音を味わってもらいたいと考えました。そして,「箏」の魅力を生かした以下のような学習活動を計画しました。
(1) 箏に触れ,音色の美しさを感じ取るとともにその構造を把握する。
(2) 平易なわらべうたなどで箏の奏法に慣れるとともに,曲を弾く楽しさを味わう。
(3) 日本の音階を使って即興創作をする。
(4) 『さくらさくら』を使って合奏段物作品を創作し,互いに聴き合う。 |
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日本では,古来,弦楽器全般を総称し「コト」と呼んでいました。
奈良時代に中国から伝来した13弦のコトを「箏(そう)」といいます。
和琴(わごん,大和ゴトともいう),琵琶(びわ),琴(きん)など,それぞれのコトは形状や構造,奏法などが異なるため区別して呼びます。
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