すぐに使える 実践事例集 平成13年10月-038/114page
演奏後には,他のグループ(段)の創作や演奏のよかった点を中心に相互に評価させます。自分たちにはなかった他のすぐれた点を積極的に評価し,今後の参考にすることができます。
A 創作後の生徒の感想より
実際に授業をした時の生徒の反応です。
○ いろいろな『さくらさくら』があって,聴いていて楽しかった。
○ 全く同じ演奏がなくて,それぞれのグループに個性があった。
○ 他のグループ(段)の演奏で,自分たちの考えつかなかったリズムや音を聴いた時あんな風にも出来るのかと驚いた。
○ 創作の時,どの音を弾いても「はっ」とするようないい音が出て,楽しくできた。
○ 創作には難しいイメージがあったが,やってみてとても楽しかった。
○ 弾く人の感性がでていたと思う。箏は個性を表現できる素晴らしい楽器だと思った。
4 おわりに
今回の授業で,生徒は日本の伝統的な楽器「箏」に直接触れることによって,新鮮な驚きと魅力を感じていました。また,「箏」がその一見シンプルな外見と構造にもかかわらず,様々な表現を可能にする楽器であることを知り,関心を深めながら学習活動に取リ組んでいました。
そして,教師が日本の音階や古典形式を生かした創作活動の展開を工夫することによって,生徒は,あまり馴染みのない日本の伝統音楽に主体的に取り組む機会を持つことができたと思います。さらに,自分たちが個性を生かして創作した作品を聴き合うことで,互いの工夫やよさを共有することができました。
今後,幅広い日本の伝統音楽や芸能の中から,生徒がそのよさや面白さを感じることのできる教材や題材を選択し,提示の方法を工夫することによって,より一層日本の伝統音楽に親しませることができると思います。
〈参考・引用文献〉
○ 小泉文夫著『日本の音』平凡社
○ 吉川英史監修『邦楽百科辞典』音楽之友社
○ 茅原芳男編著『やさしく学べる箏入門』全音楽譜出版社
○ 茅原芳男編著『授業で取り組む箏入門』音楽之友社