すぐに使える 実践事例集 平成13年10月-112/114page
道徳の授業を改善する50のヒントの例
終末を工夫しよう
終末の役割は,学習したことをまとめることと実践への意欲づけを図ることです。限られた時間内で,有効と思われる素材を使って簡潔なまとめができるようにしたいものです。
終末の段階で特に留意することは,次の通りです。
・まとめの言葉として押し付けにならないようにする。
・時間を延ばさないようにする。
・決意表明にならないようにする。
決意表明にならないようにするということについて具体的に説明しますと,例えば,終末段階で「これから,みなさんはどんな生活をしていけばよいと思いますか」といった発問をしないということになります。道徳の時間のねらいは,道徳的実践力を育成することにあります。もちろん明日から実践できる内容も含まれていますが,5年後,10年後,大人になったとき,道徳的価値を実現するための適切な行為を選択できる力を育てることが大切です。ですから,終末段階では,決意表明をさせたり,授業後に即変容を求めたりしないようにしたいものです。
終末の方法には次のようなものがあります。
1
教師の体験を話す 2 子供の日記を読む 3 詩を朗読する 4 補助資料を読む 5 音楽を鑑賞する 6 歌を歌う 7 録音テープを流す 8 自分の考えを書く 9 VTRを活用する 10 保護者の手紙を読む 11 格言を板書する 12 自己評価をする
教師の体験談の例(勤労)
私が小学校五年生の時でした。担任の先生から将采、何になりたいと思っているかを聞かれました。昔ですから、バスの運転手・看護婦・アナウンサー・船乗りなどが発表されました。私は、バレエを習っていたので即座に「バレリーナ」と答えました。そして、先生はいつもおとなしかったK子を指名しました。K子は、「私は、病院のそうじのおばさんになります。」と言いました。
みんなは笑いこそしませんでしたが、お互いに顔を見合わせてしまいました。先生が理由を聞きますと、「お母さんが病院のそうじをしていて、いつも見ていたので.わたしもなりたいです。」と言いました。K子は、学校の掃除もさぼらないで、本当に一生懸命やっていました。そして、廊下そうじのときは、板目をぬか雑巾でピカピカにみがいていました。
その後、学校でもぬか雑巾がはやり、競争でみがきました。無ロなK子が一度だけポツリと言った「私は掃除だけはだれにもまけないからね。」の言葉が今も心に残っています。
(千葉県 岡本先生)
保護者の手紙の例(生命尊重)
うちの息子は、0才のとき、ひどくおなかをこわしてしまいました。何を食べさせてもだめで、あちこちのお医者さんに診ていただき、りんごのすりおろし汁、味噌汁とおろおろして、いろいろなものを飲ませたことがあります。一週間ほどしてやっと、おかゆを食べられるようになったとき、これで命拾いしたと本当にうれしかったです。
一生を健康で過ごしてくれることが親の第一の願いです。(東京都 矢根先生)
録音テープの例(公共心)
ランランランラン ランランランラン
うれしいね うれしいね
ランランランラン ランランランラン
こんなにきれいになったよ
やぶれたところははってもらったよ
表紙もなおしてもらったよ
きちんと整とんしてもらったよ
うれしいね うれしいね
ランランランラン ランランランラン(岡山県 藤田先生)
※「道徳教育」(明治図書)から引用