『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-001/142page

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小学校
生活科
 

知的な気付きが深まる生活科の授業

〜単元の展開・見取りと支援の工夫を通して〜
児 玉  昭 男
 

 

1 はじめに

  どうして学校の授業で買い物なんかしなければならないのかと思っていました。ところが,そういう私の考えがどれだけ浅かったかを娘に思い知らされたのです。「明日は買い物だ。」と喜んで眠りについた娘でした。布団を掛けてやろうと娘を見ると,手に何かしっかりと握っているのです。五百円でした。明日買い物に持っていくお金でした。「子供は買い物に命を懸けているんだ。」そう思いました。よい買い物をしてほしい,と願わずにはいられませんでした。       
      〜初等教育資料No.666 (文部省)〜

 生活科は平成元年の学習指導要領の改訂によって「直接体験・子供の願いや思いの重視」「指導から支援へ」「自立への基礎を養う」などのキ―ワードのもとに新設されました。新設当初は教師はもちろん保護者からも疑問や不安の声が少なくなかった生活科ですが,各学校の先生方の地道な取り組みによって授業の工夫・改善が図られ,教科としての特性・よさが理解されるようになりました。

 しかし,現在の生活科に課題がないわけではありません。平成9年11月に出された教育課程審議会の「中間のまとめ」では約10年間の生活科の実施状況を振り返り,「児童の学習状況については,直接体験を重視した学習活動が展開され,おおむね意欲的に学習や生活をしようとする態度が育っている。」と評価しながらも,「一部に画一的な教育活動が見られたり,単に活動するだけにとどまっていて,自分と身近な社会や自然,人にかかわる知的な気付きを深めることができない状況も見られる。」と指摘しています。また,当教育センターにおける「生活科講座」を受講した研修者に日頃の「生活科指導上の悩み」を挙げていただいたところ,「知的な気付き」についての悩みが多く聞かれました。

KJ法で協議する研修者
〈KJ法で協議する研修者〉
生活科指導上の悩み

 そこで,「知的な気付きを深める」ための授業の在り方について,特に「単元の展開」及び「見取りと支援」の工夫に視点を当てた事例を紹介します。


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