『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-002/142page
2 理論編 〜知的な気付きを深める見取りと支援〜
1 「知的な気付きを深める」について
「知的な気付き」というと何か特別な気付きのように受け止められがちです。事実,知的=知識ととらえてしまい,授業の中で子供たちからそれを無理に引き出そうとしたり,子供たちが何かに気付くと「ここがチャンスだ。」とばかりに関連する知識を教え込もうとしたりする場面がしばしば見られます。
生活科でいう「知的な気付き」とは,子供が直接かかわる活動や体験の中で実感を伴って得られた気付きであり,子供が主体的に取り組んでいる活動の中の気付きのほとんどは知的であると言えます。
教師は活動や体験の中で生まれる気付きが知的であることを認識し,それを児童が自覚できるようにしたり,高まったりしていくようにすることが大切である。したがって,知的な気付きを大切にする指導が行われるようにすることは,教師のもつ特定の知識などを一方的に児童に求めるということではない。
〜学習指導要領解説生活編〜
ところが,低学年の子供の場合,活動の中で無意識のうちに気付く,つぶやくなど,教師の適切な見取りと支援がないと,自らの気付きのよさや価値を自覚しないまま忘れ去られてしまうことが少なくありません。したがって,知的な気付きを深めるためには,教師が子供の気付きを大事に取り上げて,共感したり,称賛したりしてそれを子供に自覚できるように返してやることが大切になります。
そこで,「知的な気付きを深める」を左のようにとらえ,そのための教師の見取りと支援を工夫していこうと考えました。
知的な気付きを深めるとは
○ 自らの気づきの良さを自覚すること
○ 気付きが子供にとって意味あるもの,価値あるものになること
○ 次の活動への意欲や自信につながること2 「見取りと支援」について
子供の思いや願いは活動に没頭する中で刻々と変化していきます。したがって,個に応じた適切な支援を行っていくためには対話や観察などを通して一人一人の思いや願い及び気付きを具体的に見取ることが大切になります。
そこで,見取りと支援を右の図のように一体的にとらえ,「見取りと支援力―ド」(個票)等を活用しながら,育てたい力を明確にした意図的・計画的な支援を行っていこうと考えました。