『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-007/142page
小学校 体育i科
作戦を立てる力を身に付け,バスケットボールの特性が味わえる授業
〜楽しく取り組める工夫と評価活動の工夫を通して〜 加 藤 直 彦
1 はじめに
小学校学習指導要領解説・体育編では,「運動の学び方」を重視することが示されています。第5・6学年のボール運動の学び方の内容は,「自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたり,ルールを工夫したりすることができるようにする。」となっています。
作戦を立ててゲームを楽しむことは,バスケットボールの重要な特性の一つですが,この特性を十分に味わわせることができていないために,「一部の児童だけで作戦を考えてしまう。」,「個性を生かした役割分担ができない。」,「効果的なプレーや動きを考えることができない。」といった場面も見られます。
そこで,「ボールを保持しない時の動き」の重要性に気づかせ,その動きを高めるような活動に楽しく取り組ませる工夫や相互に観察し合う評価活動の工夫を通して,作戦を立てる力の育成を目指した授業の展開例を紹介します。児童にバスケットボールの特性と楽しさを今まで以上に味わわせてみませんか?
2 作戦を立てる力を育成するために
児童に「作戦を立ててみよう。」と投げかけても,その基礎となるものが身に付いていなければ考えることは困難です。
今回は,作戦を立てる力の基礎を「ボール操作の技能」,「ボールを保持しない時の動き」,「有効なプレーの理解」の3つととらえました。
これまでは「ボール操作の技能」に力点を置く傾向があったように思います。そこで,資料1のように基礎となる3つの力のバランスよく身に付けさせ,さらにそれらを伸ばしていく活動を積み重ねていけば,作戦を立てる力が育成されると考えました。
3 単元の構想
意欲を高める「ボールを使った楽しい運動」,ボール操作やボールを保持しない時の動きを高める「スキルアップゲーム」,課題の明確化を図ることができる「タスクゲーム」,通常のルールに近い「ゲーム」,そして,プレーを観察し相互に評価する活動などを資料2(次ぺージ)のように位置付けました。