『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-017/142page

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 単元の前半:追究・交流活動 
       調べ学習と相互交流を繰り返すことで,地球環境問題への認識を深める段階
第一次追究活動(2時間)「調査班」での調べ学習

2 第一次交流活動(1時間)調査結果の相互交流

3 第二次追究活動(1時間)再度の調べ学習

(1) 「調査班」の中で,調べ学習をする。

図書室での調べ学習
〈図書室での調べ学習〉

 「調査班」の中で,それぞれの問題の内容・原因・対策を調べ,ワークシートにまとめました。図書室の文献資料が充実していたため,資料収集がスムーズにできました。文献資料の収集以外にも,インターネットの活用や関係機関等への取材活動等の手段も考えられます。

(2) 交流活動に向けて係分担をする

@ 交渉係:1名
  他のグループの対応係に調べた内容を説明し,質問に答える。       (うまく相手を納得させる)
A 対応係:1名
  他のグループの交渉係の説明を聞き,その妥当性を判断する。      (説明をよく聞き,公正に判断する)
B 記録係:2名
  交渉係と対応係に1名ずつつき,話し合いの状況を記録する。       (ポイン卜を手際よくまとめる)

調査班でまとめたワークシー卜
〈調査班でまとめたワークシー卜〉

 

(3) 調査班での調査結果を相互交流する。

 交渉係の生徒が,他の班の対応係のところへ出向き,調べた内容を説明し,質疑応答する活動を行いました。この際,各班の対応係には,交渉係が質問に答えられなかったり,交渉係の説明に納得がいかなかったりした場合,交渉をうち切り,出直しをさせる権限を与えました。

 第一次交流では,右の図のように質問に的確に答えられなかったり,相手に分かるように説明できなかったりして,出直しになるケースが多く見られました。ここで生徒達は,自分達の追究活動の甘さに気付きました。同時に分かりたい,解決したい,相手に伝えたいという意欲が高まっていきました。

       第一次交流のやりとり例

対応係 :「酸性雨の原因は何ですか?」
交渉係 :「硫黄や窒素の酸化物です。」
対応係 :「それはどのように発生するのですか?」
交渉係 :「石油や石炭に硫黄が含まれているので,燃やすと酸化物が発生します。窒素については……」(うまく説明できない)
対応係 :「それでは,"出直し"です。」
交渉係:「もう一度調べ直してきます。」

(4) 「調査班」の中で,再度調べ学習をする。

 第一次交流活動で不十分だった点,不明な点等を整理し,再度調べ学習を行い,さらに他の問題とのつながりについて考え,まとめました。第一次交流活動での意欲の高まりが,ここでの積極的な取り組みにつながりました。昼休みや放課後も,図書室で自主的に活動する生徒が数多く見られました。


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