『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-023/142page
これまでの自分の活動を振り返るかのように,友達の新聞をていねいに読みコメントを記入する生徒の姿が印象的でした。
「見出しが魅カ的で,文章も読みやすい。」「グラフがとても効果的。」「イラストや図があればもっと見やすくなる。」等の新聞の体裁に関するコメントはもちろん,「問題の対策として様々な法律や条約のあることが分かった。」「Aの問題とBの問題のつながりがもう少し具体的に知りたかった。」等の内容に踏み込んだコメントも多く見られました。
付箋
付箋は様々な場面で活用できます。今回は,新聞の総合評価のコメント記入に利用しました。作品に直接貼れる,後ではがせる,移動も自在にできるなどの利点があります。また,目的に応じて色,大きさ,形も選ぶことができます。発表を聞いての感想交流,KJ法を活用した課題づくりなど,様々な学習活動に手軽に利用できます。
(10) 新聞に貼られた付箋を読み,自分の考えをまとめる。
Point:相互評価
新聞制作では,第一次交流活動での相互評価が有効に働きました。他の生徒の違う視点や考え方を知るとともに,自分の新聞を客観的に見直すことで,よりよい新聞を作り上げようとする意欲の喚起につながりました。◆ 評価の視点を明確にしたり,具体例を提示したりすることで評価の仕方を理解させていくことが大切です。また「まずはよい点を見付け,次に改善点を…」という姿勢が相互評価には必要です。そうすることで自分の学習を振り返り,学習で発揮できたカに気付きながら,次の活動への自信と意欲を高めていくという自己評価の機能も果たすことになります。
◆ 教師は,成果を上げている点や意欲的な取り組みを賞賛するとともに,改善のための気付きが生まれるように問題点を焦点化してやることが大切です。そのためにも生徒のよさや変容を見抜く観察眼を常に磨いていく必要があります。
(11) 「新聞制作班」の中でグル―プ活動を振り返る。
「ふりかえりカード」(P20参照)を使って,活動を振り返りました。「資料を交換し合いながら新聞を書き上げることができた。」「調査班での調べた成果を生かすことができた。」「新聞に書いたことをそのままで終わらせたくない。」等の記述が見られました。
まとめ・発展
単元全体の学習を振り返って自己評価を行い,地球環境問題に対する自分の考えをまとめる段階
自己評価と考えのまとめ(1時間) (1) 単元の学習を振り返って自己評価し,地球環境問題に対する自分の考えをまとめる。
今回の学習は,問題解決のための行動化を求めるのではなく,問題の因果関係や相互関係をしっかり把握した上で,自分なりの考えを持つことをねらいとしました。
このままでは地球は大変なことになってしまうこと,問題は相互に関連しており人間の行為そのものが大きな原因であることが生徒たちの共通した認識でした。中には,住民・企業・行政のパー卜ナーシップの重要性や南北問題から国同士のつながりの重要性を主張する生徒,法律・条例・条約に着目した生徒,暗いイメージで彩られる問題の中,プラス思考で自然との共生を主張した生徒などもいました。
(2) 全体の場で意見交換する。
全体の場で自分の考えを発表し合い,この単元の学習を終了しました。