『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-038/142page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 鼓について

 能の囃子で用いられた4つの楽器(四拍子(しびょうし)という),能管・小鼓・大鼓・(締)太鼓がそのまま歌舞伎でも用いられるようになりました。鼓は馬の皮を鉄製の輪に張り桜の木をくりぬいて蒔絵(まきえ)を施した胴に「調べ」という麻紐(あさひも)で締めています。大小の鼓は,それぞれ奏法や音色などに大きな違いがあります。

次のような点に着目しながらビデオで演奏の様子を視聴し,鼓の特徴を把握しました。

  ☆ 楽器の構造はどうなっているだろうか?
  ☆ 音色はどう違うだろうか?
  ☆ 演奏法はどう違うだろうか?

大鼓

大鼓

"おおかわ"と呼ぶこともあり,小鼓より全体に少し大きめです。演奏の直前まで1〜2時間程度炭火などで皮をよく乾燥させてかちかちにした後,「調べ」の紐で固く締めます。湿気を嫌い,長時間演奏する場合は用意しておいた別の大鼓と取り替えることもあります。

小鼓 小鼓

演奏する時に「調べ」の紐を締めたり緩めたり,打つ場所を皮の中央や端にしながら音高や音色,音量に変化をつけます。また,演奏前には皮に息を吹きかけたり,皮を舌でなめたり,湿らせた紙を貼ったりしながら湿度を保つ調整をします。

 鼓についての学習後は,2つのグループに分かれて『寄せの合方』の三味線と鳴りものパー卜を分担し,以下のような点を工夫しながら発表活動を行いました。

雰囲気づくり
 ☆ 2つのグループ名は歌舞伎座の名称にちなんで「北座」と「南座」とした。
 ☆ 発表のための舞台に,赤い布などを敷いて歌舞伎の雰囲気を味わえるようにした。

各パー卜人数
 ☆ 音量のバランス等を考慮し,三味線が8人,鳴りものは3〜4人とした。

代用楽器の使用
 ☆ 鼓は高価であるため,音色の良く似た楽器(大鼓はウッドブロック,小鼓はボンゴ)で代用した。

練習と評価,発表
 ☆ まずパートごとに分かれ,口唱歌を使って練習した後,グループに分かれて練習した。
 ☆ 発表前に中間発表(リハーサル)を行い,互いのグループの優れた点と改善が欲しい点について2色の付箋を使って相互評価し,本番発表のための改善に生かした。

  2つのグループは,互いの演奏のよさを共有し合い,発表できた成就感と感動を味わっていました。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。