『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-041/142page
高等学校 保健体育科
心と体を一体としてとらえた保健の授業
〜ストレスを軽減する運動プログラムを取り上げて〜 紅 屋 聡
1 はじめに
最近,生活習慣が乱れていたり,ストレスや不安感が高まっていたりする生徒が増えています。このような現状を踏まえ,学習指導要領では生徒の健全な発育・発達を促すために,心と体を一体としてとらえた指導を重視する考え方が導入され,体育と保健の授業をより一層関連させることを求めています。
そこで,心と体の一体感を感じ取ることができるアスレティック・リハビリテーションの理論の筋(きん)スパズムの項目に着目しました。これらの理論に基づいた運動プログラムは,体の調子を整え,ス卜レスを軽減させてくれます。これを実習として取り入れた保健の授業を実践しました。@ アスレティック・リハビリテーション
スポーツ選手のケガの治療法から発展し,スポーツ選手以外の心理的ストレスを背景とした「慢性痛」の対処にも有効な方法です。
A 筋スパズム
安静時の筋肉が必要以上に緊張している状態のことで,右のような痛みとして自覚されます。これは,多くの生徒はもちろん,私たちも自覚できますが,正しく認識されていません。ところが,この筋スパズムは心と体の関係を示す分かりやすい例なのです。しかも,簡単な実験で体験的に理解できます。
筋スパズムに伴う痛み
○ 肩こりなどのような押したときの痛み
(安静時の圧痛)
○ 柔軟体操やストレッチ運動などで筋肉が引き伸ばされたときの痛み
(いわゆる体の固さ)筋スパズムを体感する活動を通して,心と体を一体としてとらええる考え方を理解させる実践をご紹介します。