『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-042/142page

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2 授業の実践例 

  本授業は,単元「精神の健康」における「ストレスヘの対処」として位置付け,実習を伴った授業展開のため,2単位時間連続で計画し,柔道場で実施しました。

       授業の流れ
体感しよう    
(1) 関節の固さが原因の筋スパズムの体感

関節の固さによる筋スパズムは肩こりなどの「こり」として,あるいは,柔軟運動のときのいわゆる「体の固さ」というイメージの痛みとして自覚されます。ところが,その多くは,ある関節群の柔軟性を調整すると軽減されてしまうのです。
 それをふくらはぎを使って体験します。

 

(2) 精神的ストレスが原因の筋スパズムの体感

 

 @ストレスセルフチェック法

 

精神的なストレスによる筋スパズムは,全身の筋肉の緊張を引き起こし,交感神経を活性化させます。この筋肉の緊張は,特に体の背面に生じやすいという性質を利用したチェック方法です。右のような動作を行い,それによって生じる関節や筋肉の「痛み」や「張り」,「つまり」などの感覚を確認するものです。

 毎日実施すると,筋スパズムの状態から自分の体調の変化に気付くことができます。
 ここでは,3分間の瞑想の前後に行って,瞑想によって起こる筋スパズムの変化を感じ取ることに利用します。

 

 A簡易瞑想(めいそう)
 (3分間)

 イスに座り,初めに,腹式呼吸の方法を確認します。次に,右の図のような姿勢を取り,呼吸に集中します。準備が整ったら,静かな口調で語りかけを行って,瞑想を促します。今回は次のように語りかけました。

 (ア) [開始直後] 「腹が,息を吸い込むときにふくらみ,息を吐くときにへこむことを感じ取りましょう。」(2回繰り返す。)

 (イ) [30秒過ぎ] 「自分の呼吸に波乗りをしているかのように,息を吸い込むときも,吐き出すときも呼吸のすべての瞬間に注意を集中しましょう。」

 (ウ) [1分過ぎ] 「心に様々な雑念が浮かんできます。昨日のことやこれからのこと……呼吸から意識が離れると浮かんできます。そのたびに,注意をそらせたものは何かを簡単に確認して,静かに呼吸に注意を戻します。息が出たり入ったりすることを感じ取りましょう。」

 (エ) [2分過ぎ] 「他のことを考えるたびに,呼吸に注意を引き戻しましょう。雑念が浮かんでも,そんな自分に怒りやあきらめの感情を持たずに,『ただ観察する』ような軽い気持ちで続けてみましょう。」

 Bセルフチェック
瞑想前と同じチェック方で体の感覚を比較します。
アンケートの結果では9割の生徒が変化あり(柔らかくなった。)と答えています。
 
理論を知ろう

 筋スパズムを体感した後で,その発生原因や精神的ストレスとの関係,軽減方法などを以下の項目を中心に説明します。その際,上記の活動と結びつけて実感を伴った理解を促します。

 ○ 筋スパズムに関わる悪循環 (図1)
 ○ 自律神経(交感神経・副交感神経)と精神的ストレスの関係 (図9)
 ○ 重心のコントロ―ル機能を司る関節群(図10・11)とそれを調整する運動 (図15〜19)
 ○ 関節群を調整する運動の効果を上げるための脱力感覚 (図12〜13)


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