『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-057/142page
中学校 理 科
「うまくいかない観察・実験」Q&A
[第一分野] 松 本 一 宏これまで,中学校の理科で,うまくいかないという声がきかれる観察や実験について,解決のための一策をまとめてみました。もちろん,諸条件によっては結果が異なる場合もありますが参考にして下さい。
質問内容
1.ゼリーレンズの活用
2.反射と屈折が同時に出現??
3.コンピュータを用いた音の測定
4.位置エネルギーの測定について
5.記録タイマーの記録が教科書と違う?
6.合力測定のバネばかりの値が?
7.はく検電器がない?壊れた!
8.くだもの電池でモー夕ーが?
9.金属の燃焼における諸問題
10.酸化銅の還元における諸問題
11.ユージオメーターで水素が残る!
12.カルメ焼きができない!
13.硫化鉄が磁石にピ夕ッ!
14.鉄と硫黄の混合物から硫化水素が!
15.中和量の測定は難しい?!
16.質量保存の法則で質量が変化?
17.スチールウールの燃焼で石灰水が?
18.ニ酸化炭素で石灰水が透明に!
19.炎色反応がうまく見えない!
20.塩酸の電気分解で塩素がない!
21.ソーラーバルーンをつくる
1 物理領域について
Q1 理科指導の参考書などに寒天やゼリーでレンズを作り,光学実験の指導に生かす事例があったが,どうしてもレンズがうまくできない。 A 寒天の原料は粉状であり,よく溶かさないとうまくいきません。また,コロイド溶液なのでなるべくうすい溶液にすることが必要です。加熱するときに攪拌し過ぎたり,沸騰させたりすると空気泡が入ってしまいます。また,スーパー等で売られている棒状の寒天は不純物が多いので,試薬としての寒天末を用いるか,海草抽出物を主成分とする食用ゲル化剤(商品名エースアガー等・・2000円程度)などを用いると透明性に優れたきれいなレンズができます。固めるときは,シャーレに入れて30分〜1時間程度,自然放置します。カットする際には,切りロがきれいになるよう注意して下さい。
Q2 光の反射と屈折を調べる実験で両方の現象が同時に出現するので生徒に戸惑いが見られる。片方だけ見るようにできないものか? A 光が物質に当たると,全反射の事象を除けば,反射と屈折は常に起きるので,片方だけ見るようにはできません。その強さの比は入射角に依存します。指導の時,反射光はどれか?屈折光はどれか?と注意を喚起する指導にした方が良いと考えます。