『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-061/142page
2 化学領域について
Q8 教科書にある実験の中にくだもの電池を用いてモーターを回す実験があるがどうしてもモーターが回らない。 A 少ない消費電力で回転する光電池用のモーター(ソ―ラ―モ―夕ー)を用いるとうまくいきます。
普通の模型用モーターには単三電池を使用した場合1.5Vで250mA程度の電流が流れます。くだもの電池では,流れる電流が50mA程度なので状況によっては通常のモーターでは回転しません。ソーラーモー夕ーは,0.2V 40mA程度で回転を始めます。ただしソーラーモーターは,普通のモーターが1個あたり140円〜250円程度に対して,500円〜800円と多少割高です。※ 使ったリンゴやみかんなど,くだもの電池につかったくだものは,絶対に食べないように指導して下さい。電極に用いた亜鉛などの金属が溶け込んでいる場合があります。
Q9 金属を燃焼させて,金属とその金属に化合する酸素の質量比がうまく求められない。 A 実験を丁寧に行うよう指導することが大切です。
金属を穏やかに熱して実験を進めて下さい。穏やかに燃焼させると金属粉があまり飛び散りません。
マグネシウムを用いた実験の場合,燃えたマグネシウムリボンをステンレス皿上のマグネシウム粉末の上に置くとたちまち燃焼するので実験は早くできますが,飛び散る可能性が高くなるので質量測定には向いていません。また,マグネシウムの量が多いのも飛び散る原因になります。0.4〜2.0gが適量です。これよりも量を若干多くして実験を進める際には,右の写真のようにマグネシウムを燃焼させるときに金網でふたをするとよいでしょう。さらに,マグネシウムや銅の試料は新しいものを用いて下さい。これらに配慮することで理論値の90%程度まで近づきます。計測は電子天秤を利用して下さい。普通の上皿天秤より計測やデータ処理が手早く行えます。また,読取限度(感量)は10mgのものがよいです。
マグネシウムの燃焼
金網でふたをしてのマグネシウムの燃焼その他の配慮事項
○ マグネシウムは燃焼の際に空気中の窒素と化合し,窒化マグネシウム(黄色)を生じる。
○ 4:1や3:2を求めることではなく,一定の比率になる定比例の法則の検証であることを念頭に実験を行うこと。
○ ステンレス皿はあらかじめ加熱して,質量が増加しないようにしておく。
○ ステンレス皿によっては加熱の際に「ひずみ」を生じる場合がある。「ひずみ」を直すと新たな「ひずみ」が生じてしまい,粉末を飛び散らす原因になるのでそのまま使用する。