『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-063/142page

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Q12 カルメ焼きがうまくふくらまない。

A 実験がうまくいかない最大の原因は温度管理です。120℃〜130℃あたりの微妙な火加減が成功の鍵になります。よって,この実験を行うときに絶対不可欠なものが200℃まで測定できるアルコール温度計やデジ夕ル温度計です。(この実験では,料理用のデジタル温度計が便利です。ホームセンターで1500円位からあります。)砂糖水は105℃を過ぎたあたりから温度上昇が鈍くなります。この温度を超えたら,常に温度計に注目し,120℃〜125℃あたりで急いで火から下ろし,ぬれ雑巾の上にお玉の底を押しつけ急冷させます。そのときに,炭酸水素ナトリウムをつけた割り箸で中味を急いでかき混ぜます。130℃を超えるとカラメル状になってしまいうまくいきません。

  この実験は「遊び」になってしまうことが多いので実験の目的を見失わないことが大切です。よって,炭酸水素ナトリウムを用いた場合と用いない場合の比較をする等の配慮も必要です。

 

Q13 鉄と硫黄を加熱して生成した硫化鉄が磁石と反応してしまう。

A 鉄の粒子が大きいために硫黄と完全に反応しきれないことが原因です。
 鉄は,300メッシュ程度の細かいメッシュのものを使うとよいです。また,鉄と硫黄の混合物は乳鉢でよくかき混ぜ,アルミはくで作った筒にしっかりつめて下さい。(右写真参照)それでもなお,磁石と反応してしまうことは仕方がありません。付き方で比較するのがよいと思います。

鉄と硫黄を加熱して生成した硫化鉄が磁石と反応してしまう。

 

※ この実験での配慮事項

 鉄と硫黄の混合物を加熱して,硫化鉄を生成する過程で,硫黄と空気中の酸素が化合し,有毒気体である二酸化硫黄を発生させます。特に上の写真のようにアルミホイルに試料を包んで実験をする場合には,直接吸い込んでしまうおそれがあります。

 鉄と硫黄の粉末をよくかき混ぜ,アルミホイルにしっかりつめることで,ある程度気体の発生を防ぐことができますが,喘息を患っている生徒がいる場合には,少量の吸入でも発作などがおきるので特段の配慮が必要です。通常の換気を十分にするだけでなく,この実験を窓越しに観察するとかの指示を与えて下さい。

 また,下の図(鉄粉を用いる場合)や右の写真(スチールウールを用いる場合)のように試験管を利用すると拡散する気体の量を抑えることができます。ただし,試験管は使い捨てになります。

試験管を利用する
試験管を利用する
硫化鉄の生成    
 硫黄1.0gを試験管に入れてから,スチールウール0.5gを押し込む。その際,硫黄とスチールウールの間に隙間を空ける。
     
 試験管の上部を脱脂綿で軽く栓をすると,発生したガスを抑えることができる。

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