『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-064/142page

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Q14 鉄と硫黄の混合物と化合物(硫化鉄)の比較で鉄と硫黄の混合物に塩酸を加えると発生しないはずの硫化水素が発生してしまう。

A 市販の鉄粉と硫黄の混合物に希酸を加えたとき,わずかですが硫化水素が発生することも知っておく必要があります。
  その原因としては次のようなことが考えられます。

 ○ 市販の鉄粉の中にわずかではあるが硫化鉄が含まれている。(硫黄分として0.2%ぐらい)。
 ○ 鉄と希酸の反応によって生じた水素が硫黄と反応して硫化水素になる。
      H2+S→H2S
 ○ 鉄粉と硫黄の混合物はわずかな水分が存在しても反応し,硫化鉄(||)になる。

  水素は無色・無臭の気体で,空気中では薄い青色の炎をあげて燃えます。硫化水素も無色の気体で空気中では青色の炎をあげて燃えますが,腐卵臭があるので両気体の識別は容易です。ただし,硫化水素は有毒な気体なので多量に吸引しないように注意しなくてはなりません。

 

Q15 中和量を調べる実験(中和滴定)がうまくいかない。

A 中和量を求める実験は新学習指導要領では削除されたので,本実験は探求活動や選択理科などで扱うことになります。その際は濃度を教科書(右図は旧版参照)の10倍程度に薄めることで,約10倍の精密さが期待できるようになります。従って,右図なら2%塩酸は0.2%,1%水酸化ナ卜リウム水溶液なら0.1%に薄めるとよいです。

中和量を調べる実験(中和滴定)がうまくいかない。

 

Q16 質量保存の法則の実験でポリエチレンなどのプラスチック容器に塩酸と石灰石を入れて反応前後の質量を比較しても同じ質量にならない。

A 最近になって,電子天秤が普及し,計量実験が簡単にできるようになりました。しかしながら,塩酸と石灰石をポリエチレンの容器に入れ(いわゆる開放系の実験),反応前後の質量を計量する実験では配慮することがいくつかあります。特に以下の点に留意して下さい。

 ○ 電子てんびんの読取限度が10mg以下のものを用いる。化学領域の質量の計量では,この読取限度のものがよい。
 ○ 密封性を高くする。量を減らす。
 ○ 発生した二酸化炭素の圧力によって形状が大きく変わるような容器は浮力の問題を生じる。炭酸飲料水の入ったペットボトル(耐圧になっている)を活用するとよい。

質量保存の法則を確かめる実験
質量保存の法則を確かめる実験

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