『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-065/142page
Q17 スチールウールの燃焼でなぜか石灰水が白濁してしまう。 A スチールウールは炭素を含有しているものが多いので燃焼させると二酸化炭素を発生させるものがあります。そのために石灰水が白濁することがあります。スチールウールの商品パッケージを見ても含有物まで細かに書いてあるものはないようです。従って,いくつか違ったスチールウールを購入して予備実験を行って下さい。炭素の含有量が少ないスチールウールは手触りが少し柔らかいのが特徴です。
スチールウールの燃焼
白濁した石灰水
Q18 二酸化炭素を石灰水に通したら,石灰水の色が透明になってしまった。 A 密封性の悪い容器に入れた石灰水は空気中の二酸化炭素を多く吸収しているので,実験で二酸化炭素を通しても白濁しない場合があります。以下の化学反応式を参考にして下さい。
また,石灰水の保管容器はガラス栓ではなくゴム栓のものを使うとよいです。石灰水に二酸化炭素を通すと白濁します。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H20 @
(白色沈殿)@のように反応が進み,CaCO3(炭酸力ルシウム)が沈殿するためです。
さらに,二酸化炭素を通すと以下の反応が進み,水溶性のCa(HCO3)、ができるため透明になる。CaCO3+CO2+H20→Ca(HCO3)2 A
(水溶性)
Q19 炎色反応の色が見えない。 A この実験においては,「反応の様子がうまく見えない。」また,「うまく炎の中に試料を入れることができない。」とよく言われます。銅などのようにはっきりと色がわかる試料もありますが,黄色や榿色などのように炎の色と近い場合には,見にくいものです。また,熱するときに試料がステンレス線の先端にしっかりついたかどうか心配であるという声も聞かれます。色が見えないことについては,背景などを工夫したり,白金線を使えば多少見えやすくなります。しかし,見にくい色があることは否定できません。さらに,白金線は高価ですし,身近な素材とは言えません。そこで,次のような方法があります。
○ 霧吹きで(100円ショップで売っているもので十分)試料を溶かした水溶液を炎に吹きかける。
○ PVAのノリに試料を多めに含ませて,ステンレス線につけて加熱する。
炎色反応の実験