『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-067/142page
小学校・中学校 理科(生物)
直接体験を重視した生物分野の教材
島 義 一
はじめに
小・中学校においては,児童生徒が知的好奇心や探究心をもって,自然に親しみ,目的意識をもった観察,実験を行うことが重視され,今まで以上に感動や課題解決意欲に結びつく直接体験をすることが求められています。
そこで本稿では,ダンゴムシの飼育と細胞分裂の観察の直接体験を重視した生物分野の教材について紹介します。[ダンゴムシの飼育法とその活用]
小学校では,「生物とその環境」の単元においてダンゴムシが新しく教材として取り上げられました。ダンゴムシは,身近な場所にたくさん棲息しています。しかし,虫は嫌いと消極的になる児童も少なくありません。そこで,ダンゴムシの飼育法や楽しみながら学習に取り組むことができるような活用例について紹介します。
1 準備
水槽(又はプラスチック洗面器),土(ダンゴムシがいたところの土がよい),霧吹き,ガーゼ,石や瓦,クローバ園などの草,餌(枯れ葉,ジャガイモの輪切り,煮干し),カメラ
2 飼育のし方
(1) 建物の陰などの直射日光が当たらない場所のしめっぽい石や落ち葉をそっとめくり,ダンゴムシを採集する。そのとき,ダンゴムシがいたところの土を一緒に持ってくる。
(2) 水槽にダンゴムシがいたところの土を1/3程度入れる。
(3) クローバーなどの草を植えたり,石や瓦のかけらを置いたりして,ダンゴムシのすみかを作る。
(4) 霧吹きで水槽の中にしめりけを与える。また,飼育中に乾燥しないように適宜霧吹きを行う。
(5) ダンゴムシの餌として,落ち葉,煮干し,ジャガイモなどを与える。やや厚く輪切りにしたジャガイモを