『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-073/142page
中学校・高等学校 理科(物理)
興味・関心を喚起する物理教材
田 中 賢 司新しい学習指導要領では,自ら学び自ら考えるカの育成が求められています。
生徒は,新しい事象に出会ったとき,今までの知識・理解でその現象を説明しようとします。しかし,その説明がうまくできないとき,「なぜ?(興味・関心)」が喚起され,「どうしてかな?」と考える意欲がわいてきます。このような体験を繰り返すことで,自然現象を科学的にみる態度が育成されると思います。
ここでは,「どうしてそうなるの?」と思わせるいくつかの教材とその製作方法・原理を紹介します。
T 「エネルギー保存則を無視してる?」〜力学・水撃ポンプ〜
先生: 川の水をくみ上げる方法を知っていますか?
生徒: 電気ポンプなどを用いてくみ上げますが・・・
先生: 電気や燃料油のなかった時代はどうしたのでしょう?
生徒: バケツなどを用いて,持ち上げるしかなかったと思います。大変な労力ですが・・
先生: 昔,フランスでは,水撃ポンプというものを用いたそうです。このポンプは電気や燃料油を用いなくても,水を水源の高さよりも高くまで上げることができたそうです。
生徒: あれ!それって変ですよ。確かエネルギー保存則によれば「元の高さより高くは上がらない」はずですが・・
先生: では,やってみましょう。(水を入れ出す。)
ちょっと,この弁を動かすよ。
生徒: あれ!水が上がっていく。もう水源の高さを超えたのにまだ上がっていく。不思議だな・・?