『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-097/142page
小学校・中学校・高等学校 理科(地学)
天体写真の撮影法とその活用
[固定撮影] 佐 藤 誠 一
1 はじめに
地学領域の学習においては,野外観察のように直接的に情報を得たりすることのほかに,過去に得られたデータや写真などの観測資料を利用することも大切です。特に天文分野の授業では,夜間の天体観測の実施は難しく,観測資料としての天体写真の活用は非常に重要になってきます。また,天体写真には,肉眼観測では得られない様々な情報も含まれています。
ここでは,最も簡単な天体写真の撮影法である固定撮影法とその活用法について紹介します。
2 固定撮影とは
夜空を彩る星々は,1日に1回,北極星を中心に反時計回りに回転しており,東から昇った星は南の空を通って西に沈むという円弧状の動きをしていますが,これを日周運動と言います。固定撮影とは,文字通りカメラを三脚に固定して,日周運動による星の動きを捉えるものです。星は露出時間に応じた長さの光跡となって,フィルム上に写ることになります。