『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-139/142page

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A 学級活動の時間の活用
 3年生も半ばを過ぎてもまだまだお互いに分かり合えていない部分が多く,担任は学級のこれからについて,学級成員が認め合い,高め合うような人間関係をつくっていきたいと考えました。そこで,班ノー卜をもとに「望ましい人間関係」についての学級活動を実施しました。生徒への中間意識調査から,過半数が班ノー卜に肯定的に取り組んでいることがうかがえますが,その趣旨を十分に理解できていないものも見受けられました。

  [班ノートを実施しての生徒の感想](9月調査) 

班ノートを実施しての生徒の感想 (9月調査)

○肯定的意見
 ・先生と生徒のコミュニケーションがとれ,信頼をより深めることができる。
 ・班の人の一日がどんな感じだったとか,班の人の気持ちなどが分かっていいと思う。班ノー卜をやることで班の人との交流が深まる。
 ・自分は日記が好きなので,班ノー卜をやっていてすごく楽しいです。ノー卜が回ってくるときや返されるのが楽しみです。
 ・先生が生徒をよく知るためとか,悩みがある人のためにはいいと思う。       など

●否定的意見
 ・たまに書くことがなくなると面倒くさいと思うときがある。この班ノー卜にはどういう意味があるのか?
 ・やらなくてもよい。面倒。つまらない。
 ・あまり書くことがない。何も思っていない。
 ・プライべー卜のことを書くのはおかしい。      など

 まず,「班ノー卜について思っていること」というテーマで意見を交換しました。「みんなの考えが分かって良い」「悩みがある人のためにはいいと思う」などの意見が出され,班ノー卜が学級成員の相互理解のための役割を担っていることを確認することができました。さらに,「まとまりのある学級」「明るく楽しい学級」など,目標とする学級像に近づくためにはどんなことが大切かを話し合い,相互理解を礎においた,お互いを認め合い,高め合うような学級集団について考えさせることができました。

意見の交換

 話し合いの後,他の学校の班ノー卜の実践例を提示したところ,世代は違うが同じ中学生が書いた班ノー卜を見ることで,その記述内容を新鮮に受けとめ,自分の記述をより客観的に捉え直すことができたようでした。

 授業後,班ノー卜の内容が改善され,質的な向上が見られるようになりました。特に学級内の人間関係などで悩む生徒の中には,積極的に他の記述内容に関心を持ち,それに対する感想や意見を書くことで関わりを持とうとする生徒も見られるようになりました。

 

(3) 学級担任の取り組みと班ノートの活用事例

 班ノートを有効活用するにあたり,生徒一人一人の意見を引き出す学級担任は扇の要のような存在であり,重要な役割を持っているものと考えます。次に,学級担任の取り組みと班ノートの活用事例について述べます。

@ 担任から学級全体ヘメッセージを伝える
 班ノー卜への担任からのコメン卜は,昼休みに学級で書くことにしました。どのような内容でも


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