『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-140/142page

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 生徒の特性に合わせて丁寧に返事をし,それを学級成員が読んだときに一人一人を温かく迎え入れているような表現を心掛けました。担任が熱心にコメントを書いている姿を生徒は見ており,そのような姿勢は学級へのメッセージになったものと考えます。

A チャンス相談のきっかけをつくる
 担任が昼休みに教室で班ノー卜を見ていると,生徒が周りに寄ってきて班ノー卜を共通の話題にして話すことがありました。集まってくる生徒は何か不安を抱えている場合が多く,班ノー卜をきっかけにできた輪の中で,それとなく不安や悩みを聞き,担任の考えを伝えることができました。

B 生徒指導に活用する
 班ノー卜は,情報収集を目的に行っているわけではありませんが,その内容に受容的に対応することで,生徒が踏み込んだ内容を記述してくることがあります。ある女子生徒の記述から,その女子生徒が学校を休みがちな非行少年と学校外でのかかわりを持ち,注意を要する段階まで達していたことが分かりました。生徒は教師との信頼関係において班ノートに書いてくることなので,現状について指導するというよりは,これからの望ましい関係はどうあるべきかなど,改善に向けた話し合いを持つことができました。

C 進路指導に活用する
 進路の決定で押し迫った時期になると,学習内容や方法についての質問,進路についての悩み,勉強が手に付かないなどの記述が増えました。それらは,学級の全員が共通に持っている悩みでもあり,担任が一人一人に丁寧にコメン卜することで,悩みや思いを共有することができました。また,学級活動の時間に高等学校調査や進路決定期の学習指導の題材として取り上げ,学級全体で考えることができました。

班ノート

D 学校不適応生徒と学級のパイプをつくる
 保健室登校生徒や不登校生徒も班ノートに参加させることにより,学級で起こったことや同級生の考えなどの情報を伝達することができました。教室登校まで至らないとしても,班員の一人として同級生の文章を読んだり,自分の考えを書いたりすることで他者理解も深められ,学級への所属感や社会性を持たせる上で効果があったものと考えます。


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