研究紀要第1号 学校経営改善に関する研究 調査編 - 001/042page
学校経営に関する研究
1 研究の趣旨
効率的な組織集団の活動により、効果的に生産を高めようとする産業経営のあり方は、現下の学校経営についても考えなければならないと思われる。このことは、従来の学校経営の各学級、あるいは各教科の活動に全面的に依存する経営を反省し、学校、学年、学級としての組織集団の機能を明確にし、おのおのの集団で、構成員は組織活動に満足感をもつことができ、その効果は、客観的に評価できるような学校経営が望まれることになろう。
学校経営の領域は、組織活動として、ひとりひとりの子どもを対象とした教師の指導過程と、組織体としての経営過程の二つの側面を考えることができよう。指導過程については、各教師の指導の中心となる授業において、その効果、つまり目標達成度と、学習集団の満足感とを高めるため、各教師の特性を生かした個別的指導構想が考えられよう。経営過程については、役割分担の機能化と、各構成員の充足感を高めるため、分業、協業による集大成をはかることになろう。
研究を進めるにあたっては、県下の学校経営の実態を調査し、総合的・構造的に究明し、今後の学校経営の資料とする。
2 研究のねらい
学校組織の領域を教授組織を中心として、事務組織、運営組織とし、その経営を共同の責任と相互の役割をもつ統一体とし、継続的な統括作用が行なわれるよう経営過程を検討し、「効果的・効率的な学校経営のあり方」として、今後の学校経営のビジョンを明らかにする。
そのための視点を次のようにする。
(1) 社会の要請に応じられる機構
(2) 経営機能をめざした組織体制
(3) 組織集団としての活動
3 研究内容
学校組織の概念を学校での活動を遂行展開する構造、または「わく組」であるとした機能的にうけとめているのか。構造的に働く秩序の体系とした過程的なとらえ方をしているのかを明らかにし、さらにその教育活動に関係する諸要因の機能的構造を究明する。
また、学校組織の動態化としての学校経営については、領域的に、機能的に、あるいは統制作用としての役割をもつなどと規定することができようが、学校教育本来の目的を効果的に達成させるためには、機能的にとらえ、協力活動による努力の体系としての統制作用が可能な学校経営が考えられよう。そのための条件整備や活動を明らかにする。
4 調査方法
上記のような問題意識のもとに、県下の小・中・高等学校の経営の実態を調査し、本県における学校経営の現状と理念を明らかにしようとする。
小・中学校については、全校の1/4の学校規模別の無作為抽出とし、小学校140校、中学校78校について調査をする。高等学校については、悉皆としたが、回答校85校について検討する。
対象は各校、管理の立場の者(A)、教務の立場の者(B)、一般の立場の者(C)三者について調査する。
5 調査事項
調査にあたっては、教育の具体目標、教育組識(教授組織)、事務組織、運営組織に大別し、次のような具体項目で検討する。
6 教育の具体目標(努力目標を含む)
(1) 目標設定の時期はいつか。
@ 実施についての検討と反省