研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 001/047page
教授組織に関する研究
1 研究の趣旨
科学技術の進歩は、知識量の拡大とその質を高度化させ、社会の構成や生産構造を改変している。
このような革新に対処する教育活動は、教育内容や方法、技術と、その機能的構造としての教育組織の改善が必要になるだろう。次にその具体項目をあげることにする。(1) 三層構造での学校経営により機能発揮をはかる。従来も学校教育は、学校・学年・学級と形式的に体裁は整えられているが、機能的には、学校経営方針・施策・業務なりが学級に直結し、学年の立場は、らち外におかれたようである。この学年の立場を検討し、指導・業務管理の推進母体とし、学校・学年(学年団)・学級の機能を明確にし、協力組織体制により効率を高める。
(2) 弾力的な学級集団の再編成により、個別化・集団化をはかる。子どもの発達段階・経験に応じ、教材内容に即して、組織的に既成学級の弾力的な取り扱いにより、大集団・小集団に再編成し、ひとりひとりの子どもの学習成立をより確実にする。
(3) 教師の協力体制による、分業・協業の授業を展開する。教師の協力による、単元指導計画の共同作成、授業における教育機器を導入した分業・協業の組織的な実践により、ひとりひとりの能力を開発し、心身の調和的発達をはかる。
2 研究の視点
学年(学年団)経営を推進母体とし、学習指導、生徒指導はもちろんのこと、校務も学年(学年団)を単位として分掌する協力組織体制において、次のような具体事項について究明しようとする。
(1)単元指導計画の共同作成
実際の授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計画とし、単位学年、あるいは近接学年による学年団で共同作成する。そのため学年(学年団)の組織を分業・協業が可能であるよう配慮するとともに、その作成が勤務時間内に位置づけられるようにする。
(2)教材、発達段階・経験に応じた単位集団の再編成
教科の性質、あるいは教科内容に応じ、子どもの発達段階・経験によって、既成の学級集団を合わせて大集団にしたり、グループに分けて小集団にしたりすることである。そのためには、単位学年の教師が協力して、生徒指導が行なわれる体制にする。
(3)教師の特性を生かしたティーム・ワーク
効果的な授業として、教師の特性を生かし、かつ教育機器の導入を可能にするため、TL、RT、STといったような役割で協力し合い、本質的な授業を展開する。その役割は固定したものでなく、教材の内容によって弾力性をもたせ、機能発揮をはかる。このことは、ティーム・ワークをはかることにもなり、また経験の少ない教師のグルーピングによる自校研修の一方式とも考えるようにする。
3 研究の類型
この種の研究は、教授組織のほか、教科担任(担当)制とか、ティーム・ティーチングなどと呼ばれている。しかし教科担当制といっても、全教科を担任するのでなく、一部教科の分担である、ティーム・ティーチングといっても教員組織の改編や無学年制をさしているのでなく、組織・経営上からのことである。いずれにしても組織的な改善であり、大同小異と解することができよう。呼び名が多様であることは、内容も多岐であって、こうでなければならないと定義づけることは困難であろう。しかし研究にあたっては、範囲を限定し、具体的に事実としてとらえる必要があるので、次におもなる型をあげることにする。