研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 008/047page
8 教授組織の前提条件
学級担任による教育の長所のうえに職能的分化をとり入れ、集大成としての教育効果を期待することになるので、従来の教師観の改変をはかるとともに、子どもの学習態度について、共通理解と、その徹底をはかっておく必要がある。
(1) 教師の意識改善
現在の教育活動は、学級単位に教科指導はもちろんのこと、生徒指導全般にわたって、学級担任教師に一任されている。その結果は程度の差はあるにしても孤立的・独善的にならざるを得ない。このようなあり方を改め、学級担任教師であるまえに学年(学年団)教師であるという意識に立ち、学級担任による教育の長所を残しながら、協力体制により、教科(教科内領域)を分担し、組織活動の構成員として、その役割に満足感をもち、集大成としての教育効果を高めるよう考え方を改めることである。
子どもの個性は握についても、現在の子どものおかれている社会情勢から、学級担任一教師にまかせることはむりであり、多面的な観察・指導が要求される。そのため生徒指導の責務を学年(学年団)ティームにおき、具体的な情報により協議し、対策・指導に当ることにする。学級担任教師は、担任学級の子どもについて分担任務を負うことになる。
次に学年・学級の役割の一例をあげることにする。
第8表 学年・学級の役割
機 能 役 割 学 年 学 級1 単元指導計画
目標の具体化
個別化
段階的な評価1 教材構成の基本的構想
2 基調案(骨組み)の作成
3 単元指導計画の共同作成1 資料の収集とその教材化
2 役割分担内容の検討
3 担当教科の指導計画の吟味2 単位集団の再編成
個別化・集団化
機器の導入
施設の活用1 内容・教授過程に応じた個別化・集団化
2 複数授業による教育機器の導入
3 具体的な場の活用計画1 主体的学習意欲の喚起
2 自覚による個性の伸長3 教師のティーム・ワーク
専門性の研修
分業・協業
多面的個性は握1 教科、あるいは教科内領域の分業・協業
2 生徒指導の具体計画の作成
3 生徒指導の協議・指導1 担当教科の教授
2 学習一般の基本的態度の育成
3 日常生活の観察・指導