研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 014/047page
10 教育活動の評価
子どもが、教育活動の目標をいかに自分たちの目標としてうけとめ、それを達成するためにどう取り組んでいるか。そしてその結果は、どれだけ目標を達成することができたかについて、指導と学習の両面から全体的に過程としてとらえ、的確な判断のもとに価値をみえだし、続く指導(学習)の過程をより効果的なものにするために教育活動の評価が行なわれることになろう。
指導としての過程の評価は、教師が行なう計画−指導−達成のサイクルに従っての教師の自己調整(自己評価)である。
学習としての過程の評価は、子どもが行なう目標−学習−達成、あるいは課題−試行−解決のサイクルに従っての子どもの自己調整ということになる。
(1) 評価の類別
教育活動は、目標を明確にし、それを達成するため具体的な計画を立て、実施し、適宜その達成状況を評価し、必要な調整を行ない、次の目標へと進んでいくことになる。このことは、評価の立場からは、サイクルの過程で即時的に行なわなければならないことを意味しているだろう。しかし通常評価は、ある単位期間とその相互関係を条件として、定期的に行なわれているので、評価といえばこのような性質のものが一般化されている。このことはそれなりに、ある目的と意義が認められているのであるから当然であろうが、前にもふれたように評価本来の姿として、目標−学習−(指導)−達成の過程における調整機能であるということを忘れてはならない。
次に教育活動も組織活動である以上、継続性がなければならない、しかも社会情勢に即応しなければならない。このことは、現在の子どもの多様な生活状態に対処して、多面的に目標をとらえ、包括的な取り扱いを意味することになるだろう。その目標の達成は、当然長期にわたることになるので、評価も継続的・包括的に行なわれなければならない面がでてくる。
また評価は、教師にとっても、子どもにとっても目標−学習(指導)−達成のための自己調整でなければならないことからすると、過程の随所で分析的・診断的な情報を提供しなければならない。このことは、学習・指導の過程において、どこにどのような困難点や陥没があるかを明確にすることである。こうしたことから評価は、分析的・診断的でなければならない面がある。
@ 即時的評価
即時的評価については、教授過程の各段階において、ねらいを明確にし、基本的発問や提示資料を準備し、その実際場面で各段階において教授や発問・資料に対する子どもの反応、すなわち、応答や緊張感などの態度をとらえることで調整したり、教師設問によるノートやカード記述で確める。また、よく行なわれている教授過程での短時間でのテストは、自己調整として効果的であるが、ややもすると単なるランクづけになりがちなので注意しなければならない。
A 分析的・診断的評価
分析的・診断的評価については、評価の観点によって、評価領域を定め、評価基準としての尺度を準備するとともに、内容の分析項目によって、観察・評価のチェックリストをつくって実施することになる。したがって、この評価は教師の観察法の直観で求めることになる。また子どもの自己評価でみることができる。
B 継続的・包括的評価
継続的・包括的な評価については、あらかじめ教授過程をいくつかの段階に分けて構成し、教師の期待値にどのように接近し、困難点や陥没がどこにあるかを確めることである。その方法として到達度曲線での評価法が考えられる。
次にその手順をあげることにする。
ア 教授過程にいくつかの反応場面を設けるよううにする。
イ 反応項目を具体的にする。
ウ 反応度合を線で結び・教師の期待線と比較する。学期、あるいは学年のサイクルにしたがって、定期的な評価としては、標準化された診断学力検査問題を用意して行なわれることになろう。