研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 045/047page

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かめて納得したものもある。このように疑問をたいせつに取り扱うことができたことで、複数授業に満足感をもつことができた。

 エ.結果と対比する

実験・観察カードの予想について自己評価し、実験課程で気づいたことを書かせる。

T1による「酸性の液とアルカリ性の液をまぜ合わせて、中性になった液は、液の中でどんな変化がおきていたのだろうか」について、蒸発させて残ったものを顕微鏡でみたら食塩の結晶だったので食塩水になっていた。と疑問をもつものがなかった。それでこのような変化を中和というのであるとまとめる。T2によりその図説をOHPで示す、予想が違った児童もいきいきとノートにまとめをしたようである。

 オ.発展的意欲をもつ

T1により「中性によってできるものは食塩水だけだろうか」、酸性の食物について話し合う。
T2は夏みかんと酸素水素ナトリウムを準備し、2〜3のものにリトマス反応を確かめさせて知らせる。その確認をみて、T1は夏みかんを食べさせ、さらに酸素水素ナトリウムをつけて食べさせる。「甘くなった」、「食塩の味はしなかった」の発言がある。その反応をたいせつにする。

この次の時間は、「塩酸に水酸化ナトリウムを加えてできた液が、酸性のときも食塩ができているだろうか」について調べてはどうだろうか。について、「調べてみたい」ということになる。

この時間は短時間であったが、材料の反応検定が的確で関心をもち、特に下位グループに強い刺激を与えた。こうしたことも複数授業の効果と思われる。

概括して発問や資料の提示と、児童の反応処理については、問題を残しているが、T1、T2ともに授業について満足感をもつことができ、児童も積極的に学習したことは、前期のねらいにせまっているものと思われる。

B 児童の自己評価

児童の自己評価でひん度の高いものの例をあげると次のようになる。

 ア.中性になった液が食塩水になっていたということもであるが、疑問をもったり、解決したりすることで、とてもおもしろかった。
 イ.ふたりの先生で、図をみせたり、説明してくれたりしたのでわかりやすく、とても楽しかった。
 ウ.はじめの予想が、まったく違っていたので驚いた。オーバーヘットやふたりの先生での授業なので楽しくできた。
 エ.「水溶液はどうなっているか」について、はじめは「まじっている」と思ったが、話し合いのうちに「新らしいものができている」のではないかと思うようになり、予想を変えた。
 オ.予想と違う結果だったが、中和ということはよくわかった。実験が楽しかった。

以上のようであり、普通授業との比較は困難であるが、個別化という面でひとりひとりが積極的に取り組み、楽しく学習したことは、効果的であったということができよう。

 

 18 下川崎小学校における教授組織

     安達町立下川崎小学校 (第1年次)
              校長   石 川  博

(1) 学校経営方針

 @ 三層構造での学校経営により機能発揮をはかる。
 A 弾力的な学級集団の再編成により個別化、集団化をはかる。(特に小規模少人数学級校における合併授業)
 B 教師の協力体制による本質的な授業の展開をはかる。

(2) 協力組織活動の構想

@ 協力体制としての学年団の組織

学校経営組織において、教授組織と事務組織と運営組織の統制化をはかる。その推進母体を学年団におき、協力教授組織を中心として、分掌事務・各種委員会なども企画・調整できるようにする。

A 単元指導計画の学年団教師による共同作戦

実際授業のための授業案を単元指導計画とし、近接学年(1年、2年)、(3年、4年)、(5年、6年)による学年団教師で作成する。そのために学年団の教員組織を分業・協業が


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