会話の部分に注意すれば、なにかということがすぐつかめるはずなのに、うし、またはバスのどちらか一方を答えたものが多い。くわしく読むということがまだ身についていないのだろうか。ほかに、文章の中にはでてこない、ざいもくとかうまと答えたものも少なくない。これは自己の生活体験からものごとを考えているあらわれかも知れない。
(4) 書く・文字
問題一
絵を示して、その名前をひらがなでかかせる問題。1、2、3問ともに80%〜90%台の正答率を示しているのに、4問だけが66%と低い。ここでは「けむし」を正解としたわけだが、木の葉の上にけむしを配した図柄であったので、図のあいまいさがわざわいしたのか、「はっぱ」と書いたものが相当数いる。これが正答率を低くした原因である。
問題二
指導要領には「かたかなのだいたいを読むこと」としめしてあるが、ここでは、一年生の教科書で学習ずみのかたかなからえらんで提示した。正答率の点からみれば、特に問題にするところはないが、次のような表記上のあやまりが多く見受けられたので参考としてあげておきたい。
問題三
拗音、撥音の表記上の問題
oきんぎょ−きんきょ、きんにょ
oじどうしゃ−じどうしや
oちゃわん−ちやわん
きんにょということばは、幼児語のぬけきれないこどもの発音を、そのまま表記したものであろう。拗音、撥音、促音の表記は、初歩的指導の段階で確実に理解させなければならないことではないだろうか。
問題四
漢字の書写力の問題 1〜8までは配当漢字であり、9、10は2年からの繰下げ漢字である。配当漢字の書写力は相当ついているものと見てよいと思うが、繰下げ漢字になると急に正答率が低くなっているところを見ると、なにか問題がふくんでいそうにも思う。「音」は読みの方にも提出したが、結果は読みは85.2%の正答率を示したのに対して、書くは66.6%と約20%も低くなっている。「音」は児童の日常の言語活動の中には割合強くはいりこんでいるであろうと思っていただけに、ちょっと意外であった。
参考に教科書にでてくる頻数を例示してみる。
不完全想起はずい分多くみられるが、一例をあげれば、「空」をなどとかいているなどはそれである。そのほか、字形の乱れも多い。一年の段階でもあるので、正解にするための字形の許容範囲を少々ひろげてあるが、指導にあたっては、初歩的段階だからこそ正確な漢字を書くということを強調していくべきではないだろうか。
問題五
筆順に関する問題 学習指導要領の書写の領域の内容にはいる。
誤答分析の結果、特に集中しているのは
児童の中には、表記された形にまちがいがなければ、その過程はどうでもよいという考え方をもっているものが多いと思う。また指導者の中にもそのような考えをもっている人がいるかも知れない。だが、正しい漢字、整った漢字を、能率的にかくということを、書写はねら