研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 026/060page
年は120題を基準としていることである。学習内容もそろそろ複雑になってくる学年でもあることなどが、理由づけの項目になるのではないだろうか。
読むの文・文章の領域が57%台にとどまってしまったことは、設問数においては24問で、他の領域とのへだたりはないが、読解に関する問題内容だけに、問題文はいずれも相当長文で、それに加えて記述式のものが多かったということが大きな原因かも知れない。
時間は、2回の予備テストの結果を見て修正をしたつもりであるが、1領域35分の受検時間はながかったようである。これらの条件を参酌してみれば、57%の正答率は一応是とすべきものかも知れない。
〔2〕 各領域(考察)
(1) 3 読 の文字
問題一
漢字の音読、訓読の問題(問1、2)
行 岸 音 48.7 69.1 訓 80.3 69.7
行動の読みでは、無答と無答に準ずるもの、即ちまったくでたらめなものを含めると、約40%になる。そのほかの誤答例としては、「ぎょう」「いく」とよんだものが少数いる。
岸の方にはそう問題はないようだが、海岸を「うみべ」とよんだものが、誤答者の約三分の一いた。また、川の岸を、「すみ」とか「がけ」とよんだものも若干みられた。
行(こう)は、光村版教科書では、三年下のなかで、「夜行列車」という語句で提出してあるし、東書版では、三年上で「旅行先」という語句で提示してある。教科書の中の語句だけの読みしかできないということでは、問題があると思う。次に、形の似た漢字の読みの問題(問3、4)であるが、この問題で、「待つ」を「もつ」とよんだものが意外に多いのにおどろいた。受検者の約50%にもおよんでいる。
○にもつを 待っている
○にもつを 持っている
正答率
待 持
44.7 61.8
道 通
73.4 46.8
それに対して、「持つ」を「まつ」と読んだものは、約20%と少ない。
以上のことから考えられることは、形の似ているということで、不用意によみちがってしまうことと、一字一字を確実に理解していないということである。
漢字の初歩的な指導の段階では、じゅう分注意しなければならない点であろう。
問題三
漢字を正しく読む問題
注○印は配当漢字
番 問題 正答率
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
○遊 ○意△見 △方○角 ○物○語 ○船○頭 ○病△院 ○首 △祭 △詩 △軽
84.7 71.8 62.8 61.2 18.8 64.6 87.7 74.8 65.2 42.4
△印は繰下げ漢字この学年から、漢字を読む領域においては、繰下げ字を多く提出することにした。
処理の段階で、連語になっている漢字は、分解しないで採点してしまったので、少々分析にあまさがあったかも知れないが、語句として読むというねらいからすれば、分解しないでみるのも一方法と思ってそのままにした。「船頭」は、どちらの漢字も三年配当であるが、「頭」を「とう」と読むことは理解していても、「どう」とにごることはあまり理解されていなかったようである。その結果、18.8%というまったく低い率を示している。しかし「方角」の「角」は「がく」と正しく読んでいるものが多い。この両者の関係はどのように考えたらよいのだろうか。次におもな誤読の例をあげてみる。