研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 027/060page

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問題
誤読例
意見
方角
物語
船頭
病院
軽く
いみ
ほうこう ほうかく
どうわ ものご ぶつご
ふねあたま せんちょう せんとう
びょいん
ひくく さげて ふかく

方角、物語、船頭とも、連語の場合に、濁音になるということがよく理解されていない。
軽くを「ひくく」とか「ふかく」と誤読したものは、問題文が「あたまを 軽くさげてとおる」という文になっているので、読めなかったものが前後の文から推読したものと思われる。ひくくとか、ふかくと読んでも語路はあう。
推読ということは、読解活動の中では、ひじょうに大切なものではあるが、誤読であってはこまる。その読みが正しいかどうかの確かめをする態度もやしなわないと、のぞましくない結果が生ずることも考えられる。指導の配慮をのぞみたいものである。
なお、祭りを「まつりり」、遊ぶを「あそぶぶ」にしたものも案外多いことは、おくりがなの理解のあいまいさからくる結果と考えてもよいのではないか。

(2) 4 読む(語句)

問題一
語句の辞書的な意味をとらえる問題

問題
正答
正答率
理由
夕ぐれ
しきりに
読書
わけ
日がくれるとき
ひっきりなしに
本を読むこと
61.2
77.0
46.1
40.5

「理由」の誤答として、「まわりかた」に反応したものは、問題文に「水のうずまく理由」とあるために、うずまくという現象を考えてのものであろう。

「しきりに」という副詞は、三年のこどもの言語生活の中にはとけこんでいないかも知れないが、類語はかなり使われていると思われるので、もう少し高い正答率を期待していた。

「読書」の正答率が40.5%と、4問中一番低い。読書ということばは、児童の学校生活では身近かなことばであるはずである。「読んだり書いたり」に反応が多かったということは、字面から意味をとらえたということになる。
漢字の意味には、割合にそういうとらえ方をするものが多い。読んで字の如しとかいうことばもあるくらいだから。
「読んで感想文をかく」にも反応が多かった。これは自分たちの生活を基盤にして考えたものであろう。

辞書的意味といっても、三年の段階では、文脈からはなれた意味は考えられない。したがって、新語の意味を指導する場合、その文章から切りはなして用例を考えさせることは、効果的な指導法とは言えないのではなかろうか。

問題二
反対語の問題
「○○しない」「○○ない」という用法は、二年に比して少なくなっているが、全然ないわけではない。
4問の中で「苦しい」「心配」の反対語は正答率が低い。

o苦しい−苦しくない、気持ちよい、うれしい、楽(らく)
o心配−感心、ざんねん、ほっと、よろこび、心配しない、安全

これらの誤答は、ことばのもつ意味、そのことばのあらわす状態などから考えたものである。

問題四
語句の意味をとらえさせる問題
問題一の辞書的な意味に対して、同じ語句でも文脈の中にあっては、そのあらわす意味がちがうことを理解することが大切である。

1.じゅんびうんどうを すます
2.耳を すます

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