研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 037/060page

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次の−のついた漢字の上に、読みがなをつけなさい。
10.むだをく。

という形式にして読ませたわけであるが、正答が約3割弱だったのにたいして、無答が約4割もあった。読めもせず読もうともしない児童が多かったわけである。

また、誤答の読み誤りのおもなものとしては、「な(く)」と読んだのが最も多くて全体の約1割、以下「すくな(く)」、「のぞ(く)」、「はむ(く)」・「せい」などというのが比較的多かった。「なく」、「すくなく」、「のぞく」は、いずれもこの漢字が読めず語意がわからないために、問題文の前半にある「むだを〜」をもとにして、語意を推量した読み方であろう。

また、「はむく」と読んだのは、語意そのものを承知しておりながら、読み方を正しく記憶していなかったか、または意味のかなり近いところまで推察しながら、この漢字の正しい音韻が定着していないための誤りと思われる。最後の「せい」は、完全な音訓の読み誤りであって、訓読みを忘れたための苦しまぎれの答えであろう。

A 漢字の音・訓を読み分ける 形の似た字を読み分ける
この分野では、計6問を提示したが、正答率がいずれも60%から80%の間にあり、一般に適切な指導がなされているものと思われる。

B ローマ字を正しく読む
新しい学習指導要領で、ローマ字の指導量が軽減されたことはたしかである。しかしそれにしても、前回の学力テスト問題報告書で、この分野の平均正答率が56.2%であったのと比較すると、ここの44.3%はだいぶ低くなっている。ローマ字の指導が、この学年だけに限定されてしまった現状から考えて、もっと読めるようにしておきたい。

C 辞書の引き方がわかる

次のことばを国語じてんでひくとき、どれがさきにでてきますか。いちばん早くでてくることばの記号を○でかこみなさい。
2 ア せつぶん イ せつめい
  ウ せともの エ せぼね

上記の問題は、この分野で2問提示したうちのあとの問題である。前の問題の正答率は59.7であったが、これは26.7でたいへん悪かった。この誤答を分析してみると、全体の5割近くが、イの「せつめい」が先に出てくると答えていて、ウやエの誤答は、合わせても2割にも満たない。

このことから考えてみると、「ふ」、「め」、「ぶ」という五十音図の清音・濁音の配列の順序が、先入観として頭の中にあり、こういうまちがいになって表われたのかもしれない。それにしても、辞書の利用は、国語学習では不可欠の要素であり、この学年としても重要な指導事項である。辞書活用の基礎知識である「見出し語」の配列については、ぜひとも正しい知識を与える必要があろう。

(2) 読む(語句)

この領域では、「語句の辞書的意味」、「反対語」、「同類語、同義語」、「慣用語句」、「文脈の中での語句の意味」、「複合語」の6分野について、計22問を作成し調査した。その分野別の正答率は次の通りである。(前掲の正答率表も参照)

大問番号
ねらい
小問数
大問正答率
語句の辞書的意味がわかる
反対語がわかる
同類語・同義語がわかる
慣用語句がわかる
文脈の中で語句の意味をつかむ
複合語がわかる
4
4
4
2
4
4
57.5
63.6
67.2
41.0
49.3
60.8

この中で、正答率がとくに低いのは、「慣用語句」と「文脈中の語句の意味」である。そこで、この2項目にしぼって考察をしてみたい。

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