研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 046/060page

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む」の文・文章のそれと比較してみても、もっとも低い数値であった。
これは、この学年の読解についての能力の要求水準が、前学年までと比較して、かなり高度なものに発展しており、抵抗度が高いためであろうか。いずれこのことについては、あとの「領域ごとの考察」の「読む」文・文章のところで、詳しく分析をし考察をするが、それにしても、読解の基本的な諸要素の指導に際しては、計画や方法・技術などをさらに研究をし、改善をすゝめていかなければならないと思う。

(3) 「読む」の文字や語句の平均正答率が、他の学年と比べて高い。

「読む」の文字の平均正答率について、前後の学年と5年とを比較してみると、4年が59.0、6年が60.9になっているのにたいして、この学年は69.7ともっとも高くなっている。
また、同じく「読む」の語句の平均正答率について、前後の学年と5年とを比較してみると、4年の58.0、6年の65.6にたいして、この学年は66.8とやはりもっとも高い数値がでている。このことは、この学年の児童たちが、読字力等に関する分野の諸能力において、かなり充実していることを示していると考えてよいだろう。

〔2〕 領域ごとの考察

(1) 読む(文字)

大問番号
ねらい
小問数
大問正答率
漢字を正しく読む
漢字の音・訓を読み分ける
ことばの基本形がわかる
辞書の引き方がわかる
10
4
2
2
73.2
54.5
79.6
72.3

ここでは、4つの分野について、計18問を作成して調査したが、大問正答率で見るかぎりでは、とくに問題にしなければならないようなことはみあたらない。(前のぺージに掲げた小問ごとの正答率表を参照)。すなわち、「漢字を正しく読む」、「漢字の音・訓を読み分ける」、「ことばの基本形がわかる」、「辞書の引き方がわかる」の4分野の正答率は、それぞれ73.2、54.5、79.6、72.3となっていて、じつに3分野までが70%台の高い正答率であり、最低のものでさえも約55%にはなっている。

ただここで、前掲の正答率表をもとにして、小問ごとの正答率を子細に検討していくと、まったく問題がないわけではない。それは「漢字の音・訓を読み分ける」の分野の中で、二つの漢字について各々2問ずつ提示したうちの最後の問題であるが、そこだけ正答率が著しく低くなっている。それでここでは、この問題を取り上げて分析、考察をしてみることにしよう。
この問題は、次のような形式にして出題した。

次の−のついた漢字の上に、読みがなをつけなさい。
2 { ア つい、父に逆らう。
イ 逆にたしなめられる。

このようにして調査をした結果、アの正答率は47.4であったが、イの正答率は29.5とたいへん低かった。

「逆」という漢字は6年の配当漢字であるが、いうまでもなくもちろん繰り下げの漢字である。だから、光村、東書両社の5年の国語の教科書でも取り上げられている。具体的にいうならば、光村の「小学新国語」五年下では、「逆(さか)らう」(P74)、「逆(ぎゃく)に」(P95)と出ていて、上記の問題に取り上げた形そのままであり、東書の「新しい国語」5年でも、「逆に」(P上65)、「逆らう」(下P106)とまったく同じ形で出ている。このように、同じ送りがなの形で既習した漢字が、全体の3分の1弱しか正しく読めないということは、やはり、読字の指導過程の中でどこかに欠陥がありそうに思われる。

なかなか容易なことではないであろうが、新出漢


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