研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 048/060page
ほどひっそりしていた。らい雲は、ますます大きくふくらんだ。B森のあたりが、白くかすんだ。そのとき、わたしは、二つの白いハンカチの飛ぶのを見た。二わのはとが、森から村の方へ引き返していくのだ。
(後略)
3 B森のあたりが、白くかすんだというのは、どんなようすをいっているのですか。次の中から一つ選んで記号を○でかこみなさい。ア 白いハンカチがかかった。 イ 雲がかかって森が見えなくなった。 ウ 森のあたりに雨がふってきた。 エ 天気が悪くなって目がかすんだ。 この中で、正答のウを拾ったものは、わずか13.3%しかなかった。誤答では、アに答えたものが約30%、イに答えたものがもっとも多くて約50%もあつた。このことから言えることは、第1に、児童たちは比喩的な表現にまどわされて、情景の細かな変化を正確に読みとることができないということ、第2には、部分にのみ気をとられて、文脈を正しくたどり、段落相互の関係をおさえながら読むことができないということなどである。また、「文章の要点を読みとる」では2問提示したが、ともに正答率は低かった。
ここで取り上げた問題は、前回の標準学力テスト問題で使用したものと、まったく同一の問題文であり設問であるが、前回の正答率と今回の正答率とを比較してみると、その問にはだいぶ大きな開きがある。すなわち、第1問は前回が61.0であったのにたいして、今回は32.8であり、第2問は前回が50.8であったのにたいして、今回は30.7であった。したがって、この分野の平均点もだいぶ違い、前回が55.9であるのにたいして、今回は31.8と相当低くなっている。
ただ、こ22れとまったく同じ問題を、前回、今回とも1学年上の6年で出題したが、この2問の平均正答率はほぼ同じ数値になっていて、前回が51.1であったのにたいして、今回は51.9であった。
「文体のちがいがわかる」のところでは、2問提示したうちの前の方が悪かった。この問題は、常体の文と敬体の文とを各々二つずつ取り上げて列記し、その中から、敬体の文を拾わせるようにしたもので、次のような形で出題した。
次の文のうち、敬体の文の記号を、○でかこみなさい。 1 略 2 村人たちは、「ああ、きつねのよめいりだ。」と、話し合いました。 3 まさに、高速道路時代がきずかれつつあるといえましょう。 4 略 その結果、2を正答として拾ったものは、わずかに27.5%しかなく、3を正答として拾ったものが53.7%あったことと比較して考えてみると、どうやら文末の表現にまどわされているようだ。
その他、正答率の低いものとしては、「修飾語・被修飾語をつかむ」の中に次のような問題がある。
次の−のことばは、どのことばをくわしく説明していますか。(例)にならって、答えを□の中に書き入れなさい。
(例)略2 おねえさんはきれいなちよ紙でツルをおりました。 きれいな−□ 3 おねえさんはきれいにちよ紙でツルをおりました。 きれいに−□ この正答率は、2の方が73.9%もあったのにたいして、3の方は27.7%しかなかった。つまり、「ちよ紙」にかかる連体修飾語「きれいな」を、「きれいに」と1字なおして連用修飾語に変えただけで、被修飾語「おりました」の把握ができないのである。なお、この3の誤答を分析してみると、「きれいに」が「ツルを」にかかるとしたものがもっとも多くて6割近く、「ちよ紙で」