研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 056/060page

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読解能力のそれと比較した場合、領域によって十分に学習指導の行なわれているものとそうでないものとがあるということになる。
概して、「書く」の文字は、他の領域と比較してどの学年でも低いという傾向はみられるけれども、同じ「書く」の中の語句の使用能力が、前の学年等と比較して急速に進歩している現況から考えて、文字についての学習指導でも、指導計画の中での位置づけなり、指導方法についての改善なりについて、さらに研究を続けていけば、きっと良い結果が得られるものと思う。

(3) 「書く」の語句の正答率が、他の学年のそれと比べて、たいへん高くなっている。

「書く」の語句の正答率86.6%は、この学年の6領域の中でもっとも高いだけでなく、他の学年の「書く」の語句の正答率と比べても、たいへん高くなっている。
すなわち、この領域の4年の正答率59.8や5年の正答率59.4などと比べてみると、いかに高い数値であるかがわかるであろう。このことは、「読む」の語句が、6年としては2番目に高い正答率を示していることとも考えあわせて、語句についての読んだり書いたりする能力が、かなり定着しつつあることを示すものである。

〔2〕 領域ごとの考察

(1) 読む(文字)

大問番号
ねらい
小問数
大問正答率
漢字を正しく読む

漢字の音・訓を読み分ける

ことばの基本形がわかる
辞書の引き方がわかる
10
4
2
2
68.2
59.3
58.8
29.6

@ 漢字を正しく読む 漢字の音・訓を読み分ける。
漢字の正しい読み方が、どの程度定着しているかをみるために、次の10問15字を問題として提示した。配列の順序は問題番号順である。(前掲の正答率表を参照)

ア 音読み 困難、厳重、規律、蒸発、故障
イ 訓読み 認める、営む、潮、筋、沿って

これらの漢字を、学年別漢字配当表をもとにして分類すると、次のようになる。

ア 3年 2字 重、発
イ 5年 1字 規
ウ 6年 6字 難、厳、律、故、認、営
エ 備考 6字 困、蒸、障、潮、筋、沿

上記のように全部で15字のうち、6年の配当漢字と備考漢字とについては、各々6字ずつ計12字を取り上げたが、だいたいよくできていた。すなわち、備考漢字で訓読みの例として提示した漢字「筋(すじ)」の正答率が、38.4%に落ちているほかは、9問とも全部56%から89%の正答率になっている。しかし「蒸発」、「故障」など、備考漢字を含めたかなり抵抗度の高い熟語の読み方でさえ、ともに80%台の高い正答率になっているということは、日常の熱心な指導のたまものであるといえよう。
また、漢字の音・訓を読み分ける問題では、6年の配当漢字から「著(ちょ・あら)」を、備考漢字から「縮(しゅく・ちぢ)」をだしてみたが、平均正答率は59.3%で、ほぼこちらの期待通りの数値であった。

これらのことから、読字力そのものについては基礎的な能力が身についてきつつあると考えてもよいのではなかろうか。

A ことばの基本形がわかる 辞書の引き方がわかる。
ここでは、4年から6年までの継続学習になっている「わからない文字や語句を辞書で調べる」ということについて、どの程度まで正しく身についているかを、国語辞典と漢和辞典の引き方の両方について調べてみた。

まず、ある一つのことばを国語辞典で調べる場合、そのことばの基本形を正しく認知できるとい


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