研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 017/061page
〔2〕 領域ごとの考察
領域ごとに、正答率の低い問題の誤答分析の結果をもとに考察をする。誤答分析は全答案より無作為に100部抽出した答案について行ったので、反応率には若干の抽本誤差がある。
(1) 数と計算の意味の理解 1
この領域では、4位までの数についての理解、1/2、1/3などの簡単な分数の理解、加法・減法の関係の理解、乗法九九の意味の理解、加法・減法を適用して問題を解く能力などをとらえようとしている。
この領域では・数の大小、順序についての理解
・1/3の意味の理解に関する問題の正答率は比較的高く、
・数を用いて、ものごとを整理してあらわす能力
・加法・減法との関係や性質を理解し、それを用いる能力
・乗法が用いられる場合の理解
・乗法九九の理解に関する問題の正答率は低かった。
@ 数を用いて、ものごとを整理して表わす。
これは、新指導要領で「数を用いて、ものごとを整理して表わすこと」と示された内容についてその能力をとらえようとするもので、その正答率は、50,1%と他に比して低かった。
新しい内容で、移行措置という条件を考慮しなければならないであろう。誤答として比較的反応率の高いものは、「1かいの5ごうしつ」を5, 205, 308, 15
としたあやまり、つぎに「308ごうしつ」を正答は「3かいの8号室」であるが、例として示した「2かいの3ごうしつを、203ごうしつのようにあらわす」ことの意味が理解されていないと思われるような誤答が多かった。
「数を用いて、ものごとを整理して表わすこと」としての内容は、ア 順番や位置を表わすのに、整理番号を用いて表わすこと
向って右から何番め、2列めの前から5番めを「2の5」など
イ 名前のかわりに番号を用いる。
出席番号を用いるなど
ウ 数字の持っ機能に気づかせ、ものごとを能率的に整理すること
図書の整理(10進分類法による)など、アパート、病院の室をあらわす場合など以上の内容において児童の経験との関連において理解させるようにしたい。
A 4位数までの数の理解
4位数までの数の理解の程度を、数の系列、数の大小弁別、数を読んだり書いたりする能力に関する問題によってとらえようとした。
その結果、数の大小弁別、数の系列については他に比して高い正答率を示し、特に、大小弁別においては不等号<、>を用いて表わす問題であったが正答率92%と高い率であった。新しい内容としては指導がよろしく行なわれたと考えてよいだろう。「漢数字を読み、それを数字で書き表わす問題によって、数を読んだり書いたりする能力を見ようとした。「七千六百九」の正答率は「四百六十二」に比して低く48.7%の正答率であった。これは、位取りによる記数法、空位の0は唱える場合は読まないので漢数字では表わされていないことなどの理解がふじゅうぶんのためである。
4位数の構成の理解については平均正答率56.5%とあまり高い正答率ではなかった。特に、つぎの問題の正答率は39.3%と低か