研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 018/061page
った。
誤答分析の結果、誤答のおもなものはつぎのとおりである。比較的反応率の高いものをあげてみる。
正答 29(37%) 9(21%)
19(8%) 20(8%)これは、2900と58とから構成されること、100が29あつまって2900になることなど、100が10こで1000、100が20こで2000、そして100が29こで2900である数の相対的な大きさの理解がじゅうぶんでないためのあやまりと考えられる。100が20こで2000、100が9こで900、したがって2900は100が29こあつまった数であると推測できるようにしたい。
B 分数の理解
1/2、1/3の意味の理解について、1/2の意味理解をみる問題の正答率は57.3%と低かった。
おもな誤答は、1/4、3/4ぬっているもの、それから1/2よりやや長くぬっているあやまりであった。
「ぜんたいの1/3だけぬってあるもの」をみつける問題の正答率は88.7%と高いが、1/2をつくらせる問題の正答率は低い。理解の不確実さによるためである。1/4だけぬっている誤答が約20%あったことなどから、ただ2つに分けた1つぶんと考えているのではないだろうか(全体を1つのまとまりとみて、これを2等分し、その1つ分が全体の1/2であるという理解が必要であろう。具体的ないろいろのものについて、このことを理解させるようにすることがたいせつである。
C 乗法の用いられる場合の理解
この問題の正答率は45.2%で他の問題に比して低い正答率であった。昭和41年度にこれと類似の問題(答が3ばいとなる)についてテストしたときは50.3%の正答率であった。
誤答としてみられるのは、基準との差をもって答としたあやまりなどで、基準との比較で倍による比較の意味がじゅうぶん理解されていない。まず、基準をはっきり意識し、それが、いくつぶんあるかを見とおせるように、具体的操作をとおし、理解させるようにする。特に、5つずつを1つのまとまりとしていくつぶんと考えられるようにする。
D 乗法九九の構成
乗法九九の構成理解について、累加の考え、九九を一つの系列とみたときの法則性の理解についての問題から乗法九九の意味の理解をとらえようとした。法則性の理解について正答率は40.1%で低かった。
誤答分析の結果はつぎのとおりである。
正答 8(45%) 1(17%)
5(10%) 32(4%)累加の関係の簡潔な表現としての九九の意味はやや理解されているが、九九の法則性についての理解はあまりよくなかった。あるいは式表現による抵抗もあったと思われるが、低い正答率である。
誤答の「1」は8×5=8×(4+1)と考えたのであろう。式表現および法則性の理解が確実でないためのあやまりである。誤答の5は、8×5の8の意味、5の意味が確実に理解されず、形式的な暗記による九九学