研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 047/061page

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低い問題は

 o約数・倍数を集合としてみる。
 o概数の積・商の処理のしかたの理解
 o同じ大きさの分数の集合づくりの理解
 oAのBに対する割合がPであるとき、Bを求める。
 o包摂関係に着目した基本的な図形の理解
 o円周率の意味の理解
 o面積・体積を概測する。
 o速さの表わし方の理解
 oA×B=Cの式で2つの数量関係をとらえる。
 o資料から全体の傾向を推計する。

などの問題である。各領域別の平均正答率は次表の通りである。

領域・分野 平均正答率%

数と計算 (数概念)

  〃   (技能)

図形

量と測定

数量関係

38.84

65.15

33.23

34.90

48.27

領域別に見た場合、「図形」にもっとも抵抗が見られる。これは、児童の図形認識は非常に感覚的な傾向が強いことに対して、この領域の指導内容が包摂関係に着目して、図形の集合の立場から統合的に理解させ、論理的に図形の要素間の相互関係をまとめてゆくという論理性の要求が強いためと考えられる。児童の発達段階からすれば、当然要求される論理性は消化出来るものと考えられ、今後、図形の領域に限らず論理的な見方、考え方をどのように育成するか算数科として大きな問題をもっている。

集合の考え方が算数科の大きな柱であるが、問題番号(2)のように、集合の考え方以前に約数、倍数などの意味理解がないために、正答率の極端に低いものがでてきている。今後、「集合の考え」をどのようにして各領域に生かすかも今後積極的に考えてゆくべきである。

(2) 領域ごとの考察

領域ごとの考察を加えるにあたり、各領域で特に低い正答率をもった問題を対象にして、誤答について調べることにする。誤答調査は本テスト受験の児童より100名を無作為に抽出し、その反応をもとに考察を加えていくことにする。

 1 数と計算の意味

この領域での指導内容は

 @整数について理解を深める。
 A整数および小数について、記数法の立場から十進数としての理解を深め、計算などに有効に用いられるようにする。
 B整数および小数について、概数を用いる能力をのばす。
 C乗数・除数が小数であるときを含めて、乗法・除法を用いる場合と、その計算について理解させる。
 D分数の意味について理解を深め、分数について計算する能力をのばす。

となっている。これらの取扱い方も前学年では集合に関する用語や記号として、「集合」「要素」などの用語や、集合を表わす記号{ }、集合と集合の関係を表わす記号などが指導されてきているので、この学年では、これらの用語、記号やベン図などを積極的に用いて考えを明確に表現したり、表現したものを用いて思考を進めていくことが重要である。

この領域で正答率の低い問題は

 o約数・倍数を集合としてみる。
 o概数の積・商の処理のしかたの理解
 o同じ大きさの分数の集合づくりの理解
 oAのBに対する割合がPであるとき、Bを求める。

の4つがもっとも低率である。「約数・倍数を集合としてみる」問題は

数と計算の意味

である。無作為抽出の結果、正答率は14%、無答率10%である。誤答内容をみると、約数・倍数の用語の意味が分らないのか、8の倍数・12の倍数の記入があったものが22


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