研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 050/061page
せつであるし、つねに「〜が〜の」の関係の把握も訓練する必要があるように感じられる。
図形の性質からの包摂関係の問題は
である。
(1)の正答率6%で、無答率19%
(2)の正答率14%で、無答率26%
(3)の正答率26%で、無答率18%ここで、誤答例を調べてみると、(1)で誤答率の多かったのは、(あ、え、お)の20%であった。これは「直角に交わるもの」としては(あ、え、お)であるが、この仲間わけに対して交接している。
ベン図の中に記入するため、ベン図の理解力が加味されるために、誤答率が高くなったと考えられる。前学年のテストで、問題図の7番「集合の関係を表わす記号の理解」の問題は生活経験的な具体例をもってのベン図の関係をみる問題であった。この問題の正答率は決して低いものではない。基本的図形をもっての仲間わけの問題となると正答率が低下するのは、ベン図の理解よりも、基本図形相互間の関係把握がよく理解されていないと考えられる。図形相互の関係を把握し、その後で、仲聞づくりという分類の方法を集合の考えでまとめ、それらの関係を統合的、発展的にとらえていくことが重要である。
つぎの「円周率の意味の理解」の問題は、
である。この正答率は33%、無答率29%、となっている。誤答でもっとも多いのは、円周÷3.14とか、直径÷円周とかがもっとも多い。円周率としては、3.14がわかっていても分母か直径か円周かの判断の材料になるまでの理解が出来ない。円周率の定義の記憶は簡単であるが、その意味の理解は難しいものである。
算数・数学の学習では、「分析的に考察する」ことと同時に、「全体的直覚的に把握する」ことがたいせつであるが、この点、図形がもっとも適切な内容である。この学年での図形指導の特色は、基本的な図形を包摂関係や対称に着目してとらえられるようになることであり各種の四角形の中で、ベン図を用いたり、論理的に究明することによって、これまでよりもより深い指導がなされるべきであると思われる。
4 量と測定
この学年での量と測定指導のねらいは
@面積、体積などを求める能力をのばすとともに、測定値の意味について理解させる。
A基本的な図形について、その面積が計算で求められることを理解させ、面積の測定に用いることができるようにする。
B異種の二つの量の割合としてとらえられる数量について、その比べ方や表わし方を知らせ、これを用いる能力を伸ばす。で、このねらいにそって問題を作製した。全体的に正答率は低く、50%をこえたのは、「測定値の処理方法として、平均などの理解」の問題で、他は50%をわっている。特に低い正答率を示したのは、「面積・体積を概測する」問題である。