研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 052/061page
この問題は、数量の関係がA×B=Cの式で表わされているとき、変わる数量と、変わらない数量の区別や、対応する数量の変わり方に着目するなど、数量の関係の見方や調べ方についての理解の深さをみるものである。
標本からの正答率は
(1)が54%で(2)が9%無答率は
(1)が14%で(2)が30%であった。問題構成としては、(1)の具体例から、
(2)でのaとbとの関係を求めるものであるが、(2)の誤答例をみると、「1増すごとに1ふえる」とか、「1増すごとに1へる」、「だんだんへっていく」、「だんだんふえていく」などの言葉が目立っている。これは2つの変量の関数関係を求めようとしている努力はうかがわれる。
このような関数指導は、指導過程において、帰納的な取扱いは欠くことができないものであり、帰納的な取扱いなくして、規則性の発見はあり得ない。しかもそれのみで指導の目標が達せられるものではない。帰納的に結論を推則し、一般化することがねらいである。
o資料から全体の傾向を推計する問題は
である。推測統計的な見方を育てるということが、今後の統計教育の1つの重要な方向であると思われるが、実際問題としてはかなり高度な理論を背景にしていて、確率的な見方をしっかり身につけていないと、理解しにくい問題であると思う。この問題の抽出標本からの正答率は20%で、無答率は28%あった。
誤答例も、問題の求答事項に合わない。小数で出してみたり、1000個を越す答を出したものが10%もあり、文章題での題意把握の不十分さが目立っていた。
この問題のような統計的なものは不十分な理解のまゝ形式的な処理操作ですませることは、本質を見失ってくるおそれがある。統計の目的は、その資料が示している集団を1つの全体とみて、その中での状態を知るというだけでなく、その資料を含むより大きな集団の実態を知ることにあるということである。算数科では、今後、この確率と統計の指導をいかに展開するかが重要な問題である。