研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 057/061page
領域・分野 平均正答率 数と計算 (数概念)
〃 (技能)
図形
量と測定
数量関係
48.68%
67.14%
65.64%
54.34%
54.30%
領域別に見た場合“数と計算”のうち、数と計算の意味理解がもっとも低い正答率である。
新指導要領では、集合の考えや構造的な見方を一貫して強調している。第6学年A(2)の「数についての理解をまとめること」の内容の(ウ)に、「四則の計算についての可能性および加法・乗法に関して結合・交換・分配の法則が成り立つことについて調べること」とある。これは四則計算の面から、数の持つ構造を小学校で一応のまとめたことを意味するものと受取れる。
第4学年でも、数と計算の意味が、その技能的な分野に比して非常に劣っていた。また総体的に考察すると、
・読解力が不足している児童は、数量関係のは握が劣る。
・思考がゆきづまると、解決の方法を試行錯誤に求める。このときは基本的な演算の意味・内容さえ理解されずに解答する。などの点を痛感した。また問題解決の指導は、解決者の思考が、問題場面と現実的なつながりを持つことの必要性を感ずる。さらに、基本的な数学的概念、法則の理解が必要であり、それら法則を問題場面に適用しながら、合理的、論理的思考力を伸張すべきである。
2 領域ごとの考察
領域ごとの考察をくわえるにあたっては、前学年までと同様に、各領域で特に低い正答率をもつ問題を対象にして、本テスト受験児童より100%を無作為に抽出し、その誤答内容を分析し、考察をくわえることにする。
1 数と計算の意味
この分野は、5領域の中でもっとも低い正答率48.68%を示している。この領域でのねらいは、
・分数の乗法、除法の意味について理解させ、それを用いることが出来るようにする。
・数についての理解をまとめる。ことである。今までの数と計算の指導において、その根本となる考え方よりも、加減乗除のいわゆる四則計算さえできればよいという学習観が児童の中にあり、そこがまた指導上の一つの障害ではないだろうか。第6学年で扱われる数概念は、ほとんど抽象的なもので、具体的場面から帰納的に抽象化することは大変なことである。理論的な背景を内に持って、形式的な計算力を高めるだけでなく、数の持つ本質をつかんで指導することが重要である。この領域でもっとも低かったのは、
・乗数が分数の場合の乗法の意味理解の問題である。
この問題の抽出標本からの正答率は23%、無答率は22%であった。
誤答で一番多かったのは、
第一例で33%、次いで第二例の、11%である。第一例では、時間軸は3/4あるが3/4×4/5=3/5
として、3/4の点と、3/5の点とを結びあわせたと考えられる。