研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 058/061page
第二例も3/4×4/5=3/5の計算結果から3/5の点から領域を図示したと思われる。結果的に考察すると、横軸、縦軸の意味と、面積と分数概念の結びつきの理解不足と見ることができる。分数という抽象数は具体的な量と結びつけて指導する必要があることを痛感する。次に「逆数の考えによる乗法と除法の関係の理解」の問題も正答率はひくかった。
この問題の本調査での正答率は、
(1)55.39% (2)19.83%
と(1)と(2)とで可成りの開きが見られたので、標本調査をしてみた。この抽出標本からの調査では
(1)の正答率 64% 無答率 5%
(2)の正答率 48% 無答率 5%となっていた。
(1)での誤答のもっとも多かったのは3/5×12
の13%である。分数の除法の場合は反対にして(逆数をとって)乗法に直すという言葉通りの式を作ったことになり、反対にしての意味が正確に理解できなかったのではないだろうか。
今後の指導においては、専門用語はそのまゝ(逆数などの)理解するように指導し、俗語はなるべくさけるべきであると思われる。
(2)での誤答例はに2/3×4/9×5/6が 12%
3/2×9/4×6/5が 6%とおおく、小数に直して記入したものなど誤答例は22種にもなっている。これは計算の問題になって、それの意味理解が不十分であると、思考のみだれの結果このような多数の誤答例が出てくるものである。また、誤答として扱った中に9/4、6/5を帯分数として記入してあったものもある。今後、これをどのように指導するかも十分指導法について考慮すべきである。
次の問題も正答率はひくかった。
この問題は「分数の乗除法の計算を適用した問題を解く」ことをねらいとしたもので、本調査での正答率は25.22%と高くはなかった。
抽出標本による調査では
正答率 25% 無答率 13%
であった。誤答のもっとも多かったのは8人 16%
14人 14%
18人 14%である。その他24人、38人と誤答例も豊富で、分数を用いて文章題を解くことのむづかしさが見受けられる。分数を用いての文章題は、文章題の内容把握と分数の意味理解の両者の調和がないと児童に抵抗感が見られる。
文章題が児童に抵抗感があるのは、各種のテストで指摘されることであるが、それに先行するものは、本領域での例では「数と計算の意味の理解」をぬきにしてはできないことである。この理解を十分に訓練してから、文章題指導技術の改善をはかる必要がある。
2 計算
この「計算」の領域は、本学年でも67.14%と