研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 059/061page
正答率は高く、問題点は見当らない。この領域でもっとも低い正答率を示したのは
「分数の乗除混合計算」………問題番号3
「かっこのある分数計算」……問題番号4であった。問題番号3の標本調査では
正答率 69% 無答率 11%
問題番号4については
正答率 59% 無答率 22%
となっている。この2例についてみると
分数の乗除混合算
よりは
かっこのある分数計算
の方が抵抗があることが分る。かっこ内が2項の問題であったが、かっこの用法と計算のきまりについての指導をより強化すべきである。この領域での誤答例をみると、各問題とも誤答例が非常にわかれてくることであり、どのような手順をふんだのか想像できないものがある。児童は思考がゆきづまると、解決の方法を試行錯誤に求める傾向があり、このときは、基本的な演算の意味内容さえ理解されずに解答するものである。「計算」の技能的なものは、高い正答率を示す反面「計算の意味理解」が低い正答率であることは、今後、「数と計算」領域の指導には十分考慮すべき問題があるとみることが出来る。
3 図形
この図形領域の指導のねらいは
(1)基本的な柱体(角柱、円柱)、すい体(角すい、円すい)など、立体図形について理解させ、それを認めたり構成したりすることができるようにする。
(2)縮図などの意味について知らせ、図形についての理解を深める。となっている。内容的には第4学年において、基本的な立体図形を学習してきたわけである。第4学年での基本図形は、直方体、立方体などで、これを中心にして、直線と直線、直線と平面、平面と平面の位置関係について、学習してきている。
第6学年での中心は、角すい、円すい、円柱などの回転体と角柱である。そして平面図形に関連して、縮図、拡大などの理解を深めることになっている。前学年までの「図形」領域は他領域に比して決して高い正答率を示していなかったが,第6学年での「図形」領域は65.64%と決して低い正答率ではない。それぞれが50%以上の正答率を示しているが.この領域では
・回転体としての円柱、円すいの理解
・縮図や拡大図をかくの二問に児童の抵抗が見られた。
回転体としての円柱、円すいの理解の問題は次の図のような問題である。
この問題の標本調査の結果は(1)正答率 76% 無答率 8%
(2)正答率 96% 無答率 4%
(4)正答率 45% 無答率 4%であった。
(1)では、正答の(う)を、(あ)と答えたものが10%、(い)と答えたものが5%あった。
また、(2)は正答率は非常によく、誤答はなかった。(4)で問題なのは(い)と答えたものが51%と正答率の45%をはるかに上まわっている。直観的にはたしかに間違い易いものであるが、回転体の母体はどのようなものであるか、その指導法の改善に一考を要するものと思われる。回転体の導入にはその母線と軸とが重要な要素であり、それを具体的に確認し.その上に、軸を含む面や、軸に垂直にまじわる面で切って切口を視察したりするが、切平面と底面との位置によって、切口の円の大小など十分に具体的な経験を持たせ