研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 002/036page

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ヒナが生まれる。
これらの学習内容を構造的に整理すると,三つに大別される。つまり卵のつくりに関する内容と胚が育つための条件に関する内容と,卵の内部の変化に関する内容である。
これら三つの内容は,既習事項とのかかわりあいの中で,相互に関連しあって,一つの教材としての意味を持っているのである。
以上のことを図式化するとつぎのようになる。

卵は,ふ化に適した条件の中でヒナになる
   
卵は,ふ化に適したつくりをしている
  卵の各部分は,ひなを育てる役割をもっている。
    ひなになる部分がある。
    ひなを育てる部分がある。
胚が育つには,適した条件がある
    適当な温度が必要である。
    適当な湿度が必要である。
    空気が必要である。
卵(有精卵)は,同じようにヒナになる
    血管・心ぞう・目などができる順序にはきまりがある。
    胚は呼吸をしていて,育つにつれて呼吸ははげしくなる。
    胚が育つにつれて,卵の重さがへる。
    胚が育つにつれて,卵黄・卵白の量が少なくなる。
    生まれるヒナは,みな同じである。
※条件とは,ふ化のためのあらゆる条件を意味する。

 

W 実験観察

1.卵のつくりの観察と学習計画

卵のつくりを観察しながらここで当然,どの部分がひなになるのだろうという話し合いがなされ育ててみようということで,育てるための条件を考えたり,条件の設定法を考えたりする思考活動が行なわれるところである。したがってここで,卵のつくりの観察と同時に,児童といっしょに今後の学習計画をたて,教材の見通しをはっきりさせておくことがよいのではなかろうか。
卵のつくりの観察は,なまのを割ってみる。割り方には,いろいろあるが,つぎの(2),(3)あたりが,時間の点や成功率の点からよいようである。

(1)卵のまわりに,ていねいにヤスリできずをつけ,静止させて胚を上部にしてから,下側につめを入れて上側に割る。容器はシャーレを利用する。(図−2)

(2)卵を静止させてから上部に×印をつけ,印を上向きにしたまま,側面に1p〜2pほどのヤスリきずを入れ,このきずに左右の親指のつめを入れ,0.9%の食塩水を満たしたボールの中に卵と手をそのまま入れ,殼を左右に広げるようにして割る。この方法だと卵黄・卵白が食塩水に浮いた状態で割れるので傷をつける心配がない。(図−3)

(3)方法は(2)とほとんど同じだが,ただ割るときに,殼を図のように左右逆方向に回転させて殼と同時に,卵殼膜をねじ切ってはなすようにするところだけがちがうところである。
(2),(3)の割り方は,育っている胚を観察するときも,そのまま応用できる。(図−4)

図−2
図−2
図−3 図−4

図−3 図−4

2.胚の育ち方を調べる。

胚の育ち方を観察する方法には,(1)卵殼に,


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