研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 008/036page
300oのものを利用した。水銀は,よく精製したものを5〜6cc程用意する。コックAは上質のものが必要で,真空グリスをぬって使う。目盛り付き鏡Dは,水銀面との基準がとり易いように上下にスライドできるようになっている。
ガラス管の接続には,硬質ビニール管等を用いコンタクトセメダイン等で気密を保つようにする。
気体室の容器は,写真では100mlの枝付フラスコを用いているが,後に述べるように,二口フラスコや,径の大きい試験管なども適当である。
〔写真1〕セットした同装置
V 実験の方法
1,空気を測定する場合
装置を写真1のようにセットする。コックAを三方開にしておいて,調整ねじGを廻しながら水銀面をCスケールの0目盛りに合わせる。同時にDスケール側の水銀面にDスケールの基準線を合わせる。次に,温度計Iで空気の温度を読みとりコックAを二方開(空気室と水銀柱側が通ずる)にして測定準備が完了する。
空気室をできるだけ深く水の中に入れ,電熱器で加熱する。急激な加熱にならぬよう,空気室の大きさ,加熱水の水量によって火力の強さを考えなければならないが,加熱水量が2,000〜2,500c.c.で,電熱器300W〜200Wの強さが適当である。
空気の温度が上がると,D側の水銀面が下がるから,調整ねじGを静かに廻して,水銀面を上げ基準線に合わせる。同時に温度計と,B側の水銀面の変化量(水銀柱の高さh)をo単位で読みとる。このときの空気室内の圧力は,次の式であらわされる。
水銀柱の高さ(h)+大気圧(P)oHg
以下同様な操作を繰り返し行い測定する。温度を下げながら測定する場合には,D側の水銀面が温度の変化とともに上がるので,調節ねじGを逆に操作しながら測定するようになる。この場合も,温度はできるだけゆっくり下げるように注意することが必要である。
2.空気以外の気体を測定する場合
操作は,空気の場合と同じであるが,気体を気体室Gに注入するにはつぎのようにする。コックAを三方開にし,水銀を全部下げてU字管内に残らないようにする。次に,気体室の口(温度計を差し込むところ)から気体を注入する。気体が気体室やガラス管内に充満したところで,水銀をU字管内に上げ,空気の場合と同じように水銀面をスケールの目盛りに合わせる。
そして,気体室の口に栓をすると同時に,コックAを二方開にして測定準備を終了する。
気体室(気体を入れる容器)は,枝付フラスコや二ロフラスコのような構造のものが,気体を注入する場合に都合がよい。尚,測定作業が終ったら,コックAを開き水銀を注射器にもどしておく。
そのままにしておくと気体の温度変化によって圧力が変わり,ガラス管から水銀がこぼれ出ることがあるので注意が必要である。
W 結果と考察
1,空気について
空気について測定した結果が図−2である。空気室には,100mlの二ロフラスコを用い0℃から沸点までの範囲で測定したものである。
温度の調整は,2,000c.c.のビーカーに水と氷片を入れ,それに二ロフラスコを口元まで沈める。 (図−2参照)温度計の読みが0℃附近で一定になるまでまち,それから300Wの電熱器で加熱し空気室の温度を上げるようにした。温度上昇の速さは,氷片が全部融けてしまってからは,1℃上昇するのに1分前後かかる程度である。グラフの縦軸は,装置の水銀柱の高さをo単位で読みとったままの値であるから,空気室の実際の圧力は,この測定値にその時の大気圧を加えた大きさになる。この場合には,測定当日の気圧変化が大きいため,図−3に示したように,758.4