研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 009/036page

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oHg〜756.2oHgの範囲で補正することになる。図2で,太い実線(イ)は,空気室の温度変化に対する水銀柱の変化で,細い実線(ロ)は,同時に測定したビーカーの水温(加熱水)の温度に対する水銀柱の変化を示したものである。

このグラフに見られる圧力の違いは,空気室の温度と加熱水の温度とのずれからくるものと考えられる。(イ)の場合には,温度計の示度が空気室の平均温度より低い値を示すので,温度を基準にしてみた場合には,その温度による真の圧力よりも高い圧力の強さを示していると考えられる。

(ロ)の場合には,反対に,空気室の平均温度は加熱水の温度より低い温度になっていると考えられるので,その温度における真の圧力よりは低い値を示していることになる。
〔図−2〕空気の場合の温度と圧力の関係(昭和46年1月21日9:40〜11:40測定)
〔図−2〕空気の場合の温度と圧力の関係
しかし,いずれも低温部分と高温部分を除けば完全な直線性を示している。グラフの高温部分に見られる現象は,大気圧の変化が原因の一つと考えられる。測定実験当日の大気圧の変化を見ると同時刻頃から気圧が急激に下がり出していることがわかる。(図−3参照)

〔図−3〕大気圧の変化(昭和46年1月21日観測〉

〔図−3〕大気圧の変化
この気圧変化の補正2〜3oHgを加えると,破線に近い値になっている。
次に,低温部分に現われた変化であるが,これは,棒状温度計の熱容量による影響が大きいと考えられる。図−4,5のグラフにも見られるように,温度を上げながら測定する場合で,空気室内の温度で測定した場合に,初期の約10℃の範囲で現われている。さらに,初めの数度の範囲が特に急勾配の変化を示している。
また,加熱水の温度によった場合には,大きな変化は見られない。これらのことから,測定に使用した温度計がその原因の一つと考えられる。

図−4に示したのは,同じく空気について測定したものであるが,空気室の温度を上げながら測定した場合と温度を下げながら測定した場合の比較,及び,空気室の容器を変えた場合の比較である。ここでは,空気室内の温度を棒状温度計で測定したもので,実線(イ)と(ハ)は温度上昇の場合,実線(ロ)と(ニ)は逆に温度下降の場合である。

グラフにみられる,温度上昇と下降に現われる圧力の違いは,温度計の感度,空気室の大きさや,形状による影響と考えられる。空気室の温度上昇の場合には,温度計の示度より空気室の平均温度が高いので,温度計の読みに対する真の圧力よりは高い圧力になり,温度下降では,反対の現象


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