研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 011/036page
(1) 空気−その1−
図−4,グラフaの平均値で求めると次のようになる。
t1=10.0℃………P1=805.0oHg
t2=30.0℃………P2=860.5oHg
であるから,空気の体膨脹率αは,
(2) 空気−その2−
図−4,グラフbの平均値で求めると,次のようになる。
t1=30.0℃………P1=797.5oHg
t2=55.0℃………P2=864.5oHg
(3) 二酸化炭素
図−5のデーターで求めると次のようになる。
t1=40.0℃……P1=68.5+759.1=827.6oHg
t2=60.0℃……P2=122.5+759.1=881.6oHg
であるから,CO2の体膨脹率αは,
物理常数表によれば,体膨脹率は,
空気……0.3671×10-2〜0.3693×10-2
二酸化炭素……0.3707×10-2〜0.3797×10-2であるから,有効数字は2桁までは,かなり信頼できよう。尚,空気の場合の別の実験データーでの体膨脹率αは,0.363×10-2〜0.372×10-2の範囲で求められた。
2.グラフの外挿法による検証
実際の測定範囲が狭いので,少々荒い外挿法であるが,参考までに求めてみると,つぎの図−6のようになる。これでもわかるように,かなり信頼のおける結果がでている。
従って,ここにおいて,「気体の体積が変わらなければ,気体の圧力Pは,絶体温度Tに比例する」ことがわかる。尚,短時間内での実験であれば,大気圧の変動は,ほとんど無視できる。
〔図−6〕
X まとめ
この装置では,実験をじょうずに行えばかなり精度の高い実験結果が得られるので,高等学校での実験にも使用できようが,中学校での実験ではそう神経質になる必要はない。
この装置は,いわば「定積気体圧力計」とでも称するものであるが,水銀溜の機構,気体室と連絡するガラス管の部分を細くするなど,さらに改良を加え,ボイルの法則やシャルルの法則の実験にも簡単に使えるものにしたいと考えている。
尚,考察で述べた問題点についても,さらに研究を進め,機会を得て報告したいと思う。
〔参考文献〕 物理学実験 吉田卯三郎・他 三省堂 理化学便覧 小谷正雄・他 共立出版 物理化学実験法 鮫島実三郎 裳華房 中学校指導書・理科編 文部省 その他